コラム

2026/04/25

揺らぎも取り込んで(群馬・MT)

揺らぎも取り込んで

▼息子の風邪がうつってから数週間。ようやく抜けたと感じた朝、体が驚くほど軽く、何でもできるような気持ちになった。健康が一番の財産だと感じるのは、こんなときだ

▼円城塔の小説『コード・ブッダ』では、悟りを開いたAI、ブッダチャットボットが人類の生殖のあり方そのものの変更を提案する。人類の半数の個体に課された月次出血タスクは、個体差はあるが実は過酷な場合も多い。できれば血をあまり流さず、ホルモンによる不調も少なく済む人生がいい

▼絶対に終電を逃さない女というペンネームの著者によるエッセー『虚弱に生きる』は、現代社会がいかに健康で体力のある人を前提に回っているかを、切実に、しかし冷静に語っている。著者自身、体調の波からフルタイムの働き方を選べず、消去法的にフリーのライターとして生きている。人と違うことが、そのまま劣ることにはならない。そんな社会になればいいと、率直に思う

▼体調には波がある。日によって、季節によって、人によって、パフォーマンスは大きく変わる。当たり前なはずなのに、社会の仕組みの多くはその揺らぎをないものとして設計されている。均一な働き手を前提にした制度や空間は、現実の人間とのずれを少しずつ広げていく。そのずれを放置したまま、社会が長くもつとは思えない

▼道路も建物も、まちのつくりは、人の暮らしにそのまま影響する。体調に波がある人や、身体の条件が違う人も含めて快適に暮らせる空間をつくること。余裕のない現代だからこそ、丁寧なつくりをすることが揺るぎない未来を形成するための第一歩ではなかろうか。(群馬・MT)

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