コラム

2026/02/03

LiDARが決めた勝敗(山梨・SS)

LiDARが決めた勝敗

▼ロボット掃除機「ルンバ」で知られる米国iRobotが、連邦破産法第11条の適用を申請した。家庭用ロボット掃除機の先駆者として市場を切り開いてきた企業の破綻は、単なる業績不振ではなく、技術選択の成否が企業の命運を左右する時代に入ったことを象徴している

▼iRobotはカメラを用いた独自の自己位置推定技術を強みに成長したが、この10年で主流はLiDARへと急速に移行した。価格低下と精度向上が同時に進み、中国メーカーはLiDAR搭載機を展開。iRobotが本格的にLiDAR機を投入したのは2025年に入ってからで、すでに巻き返す余力は残されていなかった

▼一方、測量分野ではLiDARが「次世代技術」から「標準技術」へと完全に位置付けを変えつつある。25年4月、国土地理院はLidarSLAMを用いた公共測量マニュアルを改正し、手持ち型・装着型LiDARを正式な測量手法として明確化した

▼ドローン搭載型LiDARやSLAMとの組み合わせにより、都市部や山間部、構造物内部など従来困難だった場所でも高精度な3次元計測が可能となった。河川・砂防事業、橋梁やトンネル点検、BIM/CIMを活用した建設DXなど、LiDARは現場実装の段階に入っている

▼家庭用ロボットで競争を決定づけたLiDARは、公共測量では生産性と安全性を高める基盤技術として社会インフラを支え始めている。技術そのものの優劣ではなく、変化を見極め採用するタイミングが重要だ。iRobotの破綻は、LiDARが社会実装の段階に入った時代の転換点を示している。(山梨・SS)

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