コラム

2026/10/29

判断に迷う時には(群馬・YT)

判断に迷う時には

▼人間は1日に3万5000回もの「判断」をしているという。ビジネス書などで目にしたことがある人も多いだろう。朝起きて左右どちらの足から踏み出すか、食事で何から食べるかなど、小さな選択まで含めた数のようだが、果てしない数だ

▼全ての判断を全力でしていたら、おそらく朝起きて出勤するまでに脳が疲れ果ててしまう。優れた経営者が同じ服を着回して選択を減らす話も有名だが、この3万5000回の中にはルールや習慣で自動化されているものも多いだろう。例えば車の運転。もし交通法規という共通ルールがなければ、自らの判断だけで無事に会社へたどり着けるイメージすら湧かない。ルールで判断を自動化するからこそ、最小限の判断で安全に運転できている

▼しかし、判断の自動化をルールではなく「慣れ」や「惰性」にすり替え、確認そのものを省略し始めると危険度は一気に跳ね上がる。「このくらいなら大丈夫」という勝手な判断の省略が、重大な事故を引き起こす

▼現場の労働災害防止活動においても同じことが言えそうだ。「いつも通り」という油断から点検や手順を省く行為が、事故の最大の引き金になるのは周知の事実だ

▼とは言え、軽微なものも含め、判断に緊張感を保ち続けるのは不可能な話。だからこそ、現場のルールを単なる義務ではなく、無意識でも正しい行動が取れるよう習慣にする必要がある。労働災害防止のルールの多くは、過去の悲惨な犠牲の上に築かれた先人たちの知恵。集中力に限界があるからこそ、決まり事を「正しい習慣」とすることが、確かな安全を引き寄せる第一歩となる。(群馬・YT)

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