2025/04/18
ゾンビと社会インフラ(群馬・YT)

ゾンビと社会インフラ
▼崩壊した世界を意識を持たない死体が歩き回る。ゾンビ映画でよく見る光景だ。映画にとどまらずドラマ、ゲームなどさまざまな媒体で扱われており、人気の高さが感じられる。描かれ方もさまざまで、冒頭の社会秩序が崩壊した世界を生き残るものから、一軒家とその周辺、果ては高速鉄道の中を舞台とするものまであり、その幅広さも魅力の一つだろう
▼そうしたゾンビ映画を見ていると気になる場面が散見される。それは社会インフラの維持という点だ。ゾンビがはびこる荒廃した世界になって数年。命からがらとある空き家にたどりつくが、電気や水道が止まっている。というのは多くの作品でみられる。しかし、たどり着いた空き家やたどってきた道はどこまでその姿を保っていられるのだろうか
▼夏のわずかな期間でアスファルトの隙間から力強く生い茂る雑草を考えるだけでも、人の手が一切加わらない道路がどれだけ走行可能な状態で保たれるのか疑問だ。空き家に対しても、例えば雪深い地域で何年も経過した場合に、どれだけの家がそのままの形を残せるだろうと考え込んでしまう
▼話の都合であるのは重々承知の上だが、実際にはどうなってしまうのか、というのがいちいち頭によぎってしまう。運よく生き残ったとして、全てのインフラを復旧させ、再び文明社会を築き上げるのがいかに困難かということを突き付けられる
▼現実社会は、ストーリーの都合で社会インフラが維持されるわけがなく、携わる人間がいなければ維持できない。社会インフラの老朽化が進むなか、日常生活を守り続ける建設産業の力が試されている。(群馬・YT)