コラム

2025/11/21

安全意識の高揚と向上(茨城・TH)

安全意識の高揚と向上

▼建設業の労働災害防止を目指した安全大会で、主催者のあいさつが聞き取りづらく、最後の言葉に迷いが生じた。「安全意識の高揚」だったのか、「向上」だったのか。録音を聞き返しても判別できず、明確な答えは得られなかった。そもそも、両者は似たような意味を持ち、言いたいことは同じなのではないか。使い分けるべき言葉なのだろうか。「意識の高揚」と「意識の向上」は、どう違うのか

▼調べてみると、「高揚」は今よりも上へ向かって意識が高まる様子を表す言葉であり、「向上」は文字通り、状態がより良くなる上向くことを意味する。高揚は気持ちの高まりや盛り上がりを示し、向上は現状よりも改善される様子を表している

▼意識を現状よりもさらに良いものにするのが「向上」だが、そのためには気持ちを高ぶらせる「高揚」が必要となる。意識の高揚が火種であり、向上が薪のような関係である。建設現場での安全対策は、単なるルールや手順を守るだけではなく、そこには働く人々の意識が深く関わっている

▼安全教育、KY活動、ヒヤリハットの共有などは、作業員の知識を深め、危険への感度を高めるための取り組みであり、意識の向上につながる。一方で、朝礼での声かけや現場に掲げられた安全標語などは、現場で働く全ての労働者の「安全への関心」を呼び起こすものであり、意識の高揚を促す

▼意識の高揚と向上。両者が連携し、両輪として回ってこそ、現場は変わる。労働災害ゼロは、単なる数字だけでは語れない。それは、働く人々の気持ちが現場を支えているからにほかならない。(茨城・TH)

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