コラム

2026/09/10

スポーツも現場も(山梨・SS)

スポーツも現場も

▼日曜日の昼下がりにスマートフォンが鳴った。画面には、息子からのメッセージ。「顧問の先生の車で病院に向かっている」。その一文だけで胸がざわついた。ハンドボール部の練習中、接触プレーで相手の肘が口に当たり、前歯がぐらついたという

▼真っ先に浮かんだのは「歯は大丈夫か」という親心だった。そして、先日終えた歯列矯正のことも頭をよぎった。「あれだけ時間も費用もかけたのに…」。親としては不謹慎かもしれないが、そんな思いに苦笑した。幸い大事には至らず、胸をなで下ろした

▼今回感じたのは、休日にもかかわらず生徒を病院へ送り届けてくれた顧問の先生の存在だ。部活動は教育活動の一環とはいえ、けがへの対応、保護者への連絡、病院への付き添いまで担う責任は大きい。子どもたちを支える先生方に、改めて頭が下がった

▼「ハンドボール 歯 けが」と検索すると、マウスピースを勧める情報が多く出てきた。歯の破折や脱臼、唇や舌の負傷を防ぎ、衝撃を和らげる効果が期待される。市販品なら数千円、歯科医院で作るものでも数万円程度。歯を失った場合の治療や将来的な影響を考えれば、安全への投資として高くはない

▼建設現場の安全対策も同じだ。ヘルメットや安全帯、安全靴は事故が起きてからでは遅い。保護具の価値は、事故を防ぎ「何も起きなかった一日」を積み重ねることにある。安全対策は利益を生まないコストではなく、損失を防ぐ投資だ。息子のけがは、スポーツでも建設現場でも共通する備えの大切さを教えてくれた。安全は運ではなく、日々の準備によって守られるものなのだ。(山梨・SS)

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