コラム

2026/10/24

出る杭を打たないで(群馬・MT)

出る杭を打たないで

▼取材先へ向かう車の中から、山の景色を眺めることがある。木々は高さも太さも枝の向きも違う。1本だけ高く伸びた木もあれば、隣の木を避けるようにして斜めに枝を広げた木もある。葉の形も1枚ずつ違う。そうした自然の姿を眺めていると、素直に美しいと思う

▼一方、人の集まりでは、周囲と違う意見を口にしたり、目立つ行動を取ったりする人が、ときに煙たがられ、批判の対象になることがある。「出る杭は打たれる」という言葉があるくらいだ。独創的な発想は、初めから誰にでも価値が分かるとは限らない。常識から外れ、時には突拍子もないものに見える。しかし、後に世界を変える発見も、最初は1本の出る杭だったのではないか

▼出る杭があったら、すぐに打たず、まずは面白がってみてはどうか。応援することは、何でも無条件に認めることではない。なぜそう考えるのか耳を傾け、試す余地を残す。思いがけない発想や、これまで見落としていた問題が、そこから見えてくるかもしれない

▼誰かが伸び伸びと個性を発揮する姿は、周囲にも安心感を与える。全員が競って高い杭になる必要はない。それぞれが自分の得意なことや、自分に合った方法を選べればいい

▼建設の現場では、経験も得意分野も異なる人たちが力を合わせ、構造物を造り上げている。求められる精度や品質は、人まで同じ型にそろえることで生まれるものではない。それぞれが異なる視点から意見を出し合い、互いに補い合うことで実現するものだ。そうした積み重ねが、よりよい仕事や、やがては世界を変えるほどの成果につながることを期待したい。(群馬・MT)

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