コラム

2026/05/30

米の安堵と資材の悲鳴(山梨・SS)

米の安堵と資材の悲鳴

▼スーパーでお米の値札を見ると、以前よりずいぶん安くなったと感じる。あれほど高騰していた時期を思えば、家計にとってはありがたい変化だ。豊作や在庫の積み上がりで需給が落ち着き、ようやく、以前の価格とまではいかないまでも「普通の価格」くらいまでに戻ってきた。ほっと胸をなで下ろしたくなるし、買い物のたびに安心感も広がる

▼ところが、その安心と入れ替わるように、別の場所で悲鳴が上がっている。緊迫する中東情勢の影響で、石油由来のナフサの供給不安が強まり、塗料やシンナー、プラスチック製品が不足している。建設現場では資材が届かず、「工事が止まった」という声も聞かれるようになり、影響はじわりと広がっている

▼価格の問題にとどまらないのが、今回の深刻さだ。シンナーは塗装や防水に欠かせない基礎資材であり、代替が利きにくい。実際に価格は急騰し、従来の数倍で取引される例もあるという。現場はコスト増と工程遅延の二重苦に直面し、事業継続すら危うい状況に追い込まれている

▼同じ国内で、片や値下がりを喜び、片や不足に苦しむ。需給のわずかな揺れが、暮らしをここまで左右する現実に驚かされる。お米の安さは朗報だが、建設の停滞は住宅やインフラの維持に影響し、巡り巡って生活全体に跳ね返ってくる恐れがある

▼世界の緊張が、食卓と現場の両方に影を落とす時代である。だからこそ、資材の調達先の多様化や備蓄のあり方を見直し、外部環境に左右されにくい仕組みを整える必要がある。値札の安さに安堵(あんど)するだけでなく、その裏側にある脆(もろ)さにも目を向け、備えを考えたい。(山梨・SS)

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