2026/08/08
守りたいものは何か(茨城・TO)
守りたいものは何か
▼少し前に、飲食店のストローがプラスチックから紙製に切り替わる動きが広がった。海洋ごみを減らし、環境を守る取り組みとして受け入れられてきた経緯がある。その一方で、使用中にふやけてしまい使いにくいといった消費者の声を受け、見直しの動きも出始めているという
▼同じように「守る」ことを目的とした見直しが、行政の現場でも進む。カスタマーハラスメント対策として、座席表の廃止や名札の簡略化に取り組む自治体が増えている。来庁者との距離感を保ちつつ職員の安全を確保する狙いがあり、安心して働ける環境づくりとして広がりを見せている
▼しかし、こうした対応によって来庁者が窓口の所在を把握しにくくなり、執務室近くの職員へ問い合わせが集まる場面もあるという。本来の窓口を経ずに直接声を掛けられるケースも増え、結果として特定の職員に負担が偏る。小さな変化でも現場では思わぬ影響が生じることがある
▼紙ストローも座席表の廃止も、出発点はいずれも「より良くする」ことにある。ただ、目的の正しさと手段の適切さは必ずしも一致しない。取り組みの意義を否定するのではなく、現場でどう機能しているのかを確かめながら調整していく視点が求められる
▼海外では紙製ストローを従来素材へ見直す動きもみられる。「壊れやすい」「使いにくい」といった声に加え、環境への影響にもさまざまな見方があるためだ。しかし、変えること自体が目的化していないか。環境への配慮や職員の安全確保も、その先にある人々の暮らしのための手段である。守りたいものは何か。その原点を見失ってはならない。(茨城・TO)















