2025/12/10
この端子、どこの現場?(山梨・SS)
この端子、どこの現場?
▼自宅のリビングの机の上には、スマートフォンやタブレット、スマートウオッチが充電待ちの状態で並んでいる。USBタイプC、ライトニング、マイクロUSB―。機器ごとに異なる端子やケーブルが必要で、充電速度もバラバラだ。中にはデータ転送には使えるが充電できないもの、電圧が合わず警告が出るものもある。かごの中には用途不明のケーブルが積まれ、誰も「どれを使えば早く充電できるのか」分からない
▼この混乱した光景は、建設業界の「規格の不統一」に重なる。発注機関ごとに設計・積算・施工管理の基準が違い、同じ工種でも仕様書や数量算出の方法が異なる。電子納品や出来形管理のフォーマットも統一されず、現場ではデータ変換や再作成といった無駄が生じている
▼さらに、BIM/CIMや建設DXの導入で、デジタルデータのやり取りが増えるほど、形式や構造の差が障害となる。ソフト間の互換性が取れず、せっかくの3次元モデルも別現場で使えない。業界全体が「共通のコード」で動けていない
▼本来、規格の統一は効率化や品質確保の基盤である。誰もが同じ仕様で仕事を進められれば、ミスや手戻りが減り、時間とコストを節約できる。国土交通省が進める共通仕様書やBIM/CIM標準化の取り組みは、その第一歩。家庭でUSBタイプCが主流となるように、「一本化」が進めば作業は格段にスムーズになる
▼建設業界も今、絡まった規格を整理する時期に来ている。ばらばらの基準を整え、共通の仕組みでつながることが生産性を高める鍵だ。統一の先にあるのは、誰もが迷わずつながる未来である。(山梨・SS)















