コラム

2026/03/24

塩気と健康の間(山梨・SS)

塩気と健康の間

▼高齢の父は、塩じゃけにさらにしょうゆをかけるほどの濃い口派だ。東北・福島出身。母も同じ福島育ちで、食卓に並ぶ料理は総じて味がはっきりしていた。その影響か、新潟出身の私も、関西の薄味の料理に出会うと、思わずしょうゆに手が伸びてしまう。味覚は、土地と家庭の記憶にしっかりと刻まれるものだと実感する瞬間である

▼そんな「濃い味文化」を象徴するニュースが、新潟市のラーメン外食費だ。年間支出額は過去最高を更新したものの、首位は4年連続で山形市。新潟市は2位に甘んじた。悔しさをにじませながらも、ラーメンで街を盛り上げようとする熱量は衰えていない。ラーメンは、東北・北陸に共通するソウルフードであり、地域の誇りでもある

▼だが一方で、気になるのが「塩分」だ。塩分の過剰摂取は、高血圧や動脈硬化、心不全、腎障害など、さまざまな病気のリスクを高めるとされる。推奨される1日の塩分摂取量は、成人男性で8グラム未満、女性で7グラム未満。ラーメン一杯のスープを飲み干せば、それだけで上限に近づくことも珍しくない

▼濃い味は確かにうまい。寒冷地で培われた食文化として、理にかなった面もある。しかし、平均寿命が延び、高齢期をどう健やかに過ごすかが問われる今、味覚との付き合い方も見直す時期に来ているのではないか。スープを少し残す、減塩メニューを選ぶ―それだけでも体は違ってくる

▼ラーメン日本一を競う熱気と健康への意識。その両立こそが、これからの「食の街」の価値になる。濃い味を愛しつつ、長く楽しむ知恵を持ちたい。丼の底に残るスープを前に、そんなことを考えている。(山梨・SS)

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