コラム

2025/12/12

茶色いアスファルト(新潟・SK)

茶色いアスファルト

▼県外からの来訪者に「新潟は道路がいい」と言われたことがある。しかしそれに続くのが「でもどうしてアスファルトの色が茶色いのか。駐車場も汚く変色している」という言葉。確かに比較的新しい道路や駐車場でも部分的に変色し、何があったのかと奇異に思われるのは事実。特に雪が多い地域では多く見られる光景だ

▼理由は消雪パイプ。地下水をくみ上げ、ノズルから散水して道路上の雪を溶かす。雪国ならではの融雪方法だが含まれる鉄分が茶色く残り、舗装面に汚れが染みつく。しかし、雪国に暮らす人間にとって消雪パイプは命を支えるインフラそのもので、無くてはならない重要な設備。降雪期には除雪車とともに冬の安全な交通確保に活躍している

▼近年は地下水のくみ上げによる地盤沈下が深刻化し、節水型やより少量の水で雪を溶かす技術の開発も進められている

▼発祥の地である長岡市の市道では今年も消雪パイプの点検作業が始まり、初日には多くの報道機関が取材に駆け付け、初冬の風物詩として伝えた。汚れた道路には訳があると説明に力を込め、これぞ雪国を生きる先人の知恵とばかりに猛アピールすると大概の人は納得してくれる

▼誇れる設備である一方、残念な点もある。「誰が発明したのか」との質問に地元でも知らない人が多いということ。ビールのお供柿の種の浪花屋製菓創業者である今井與三郎氏がその人で、建築・土木とは無縁の人物と聞くとやはり驚きを禁じ得ない。邪魔な雪をなんとかしたいとの強い信念が着眼の眼を開かせたのか。既成概念にとらわれずに問題解決のヒントを探る気持ちを大事にしたい。(新潟・SK)

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