コラム

2026/03/20

風呂キャンと経済(東京・YY)

風呂キャンと経済

▼「風呂キャン」という言葉を初めて耳にしたときは温泉や銭湯のキャンペーンのことだと思った。実際は「お風呂キャンセル界隈」の略だと知り「界隈」という言い回しも含め、いかにも若者らしい表現に笑ってしまった。内容そのものは肯定も否定もしないが、感情を端的に伝える軽やかな感性には学ぶべき点がある

▼この言葉はSNSの投稿をきっかけに生まれたという。投稿には3万件を超える「いいね!」が付き、瞬く間に拡散した。メディアにも取り上げられ、一部では社会問題として扱われたようだ。短いフレーズが人々の共感を呼び、感性をつなぎながら広がっていく。言葉が持つ波及力の大きさに驚かされた

▼日頃「○○のためのあり方検討会」「○○に関する基本的な構想」といった長い固有名詞と接しているせいか、『風呂キャン』の潔さにはセンスすら感じる。AI時代の到来でカタカナ語が氾濫する中、言葉を重ねて分かりやすさを追求することは容易ではない

▼福沢諭吉は、日本になかった西洋の概念を表すために「社会」や「自由」といった新しい言葉を生み出した。「経世済民」を略し「経済」という言葉をつくった逸話も、分かりやすさを追求した結果として知られている。「風呂キャン」や「インスタ映え」も、意味を直感的に伝える言葉であるとは言い過ぎだろうか

▼言葉は伝わってこそ人の心を動かす。職業柄、日々多くの言葉に囲まれているからこそ、分かりやすく伝えることの大切さを実感する。情報があふれる時代だからこそ、相手に届く表現とは何か。その原点を、さまざまな言葉を契機に考えていきたい。(東京・YY)

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