コラム

2026/08/05

無意識系から意識系へ(新潟・CY)

無意識系から意識系へ

▼裁きの日、カメラは未知の世界を捉えた。モニターに映る薄桃色の湿った内壁。上部消化管内視鏡検査、胃カメラの初体験だ。経年劣化が進む体。破綻してからではコストもリスクも高くなる。アセットマネジメントなくして存続なし。分かってはいるが、不具合を感じなければ意識が向かない

▼雑誌・ビッグイシューに、岩手県矢巾町で長く水道事業に携わった吉岡律司さんの記事があった。安全で安いのが当たり前。人口が減っても維持管理の固定費は減らない。全国津々浦々、多くが直面するジレンマを乗り越えて、町民自ら水道料金の値上げを提案するなど、奇跡の水道事業と言われた町だ

▼古くは江戸時代。木樋の水道が朽ちると、コレラなどが流行した。水道は命懸けで敷いた『意識系インフラ』だった。近代は鉄管を用いて圧送になり、戦後の復興から高度経済成長を経て、蛇口をひねれば水が出る『無意識系インフラ』になった。どこでも等しいサービスが保障された、理想形だったはず。しかし今、インフラは『意識系回帰』の岐路にある

▼矢巾町では、老朽管の内部を見てもらったことで、利用者の意識が変わったという。キーワードが「見る・知る」ならば、現場をよく知る施工者の力が必須だろう。涙目でよだれを垂らしながら、けなげにがんばっている食道・胃を見て、考える

▼幸い、異常なしとのお墨付きをいただいた。今後は意識して辛い物やお酒は控えよう。口からの管路調査の定期実施はできれば避けたい。極小のドローンが開発され、検査も治療も完結したらいいのに。そう遠くない未来に、実現しそうではあるが。(新潟・CY)

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