2026/07/16
光をつなぐ営み(茨城・TH)
光をつなぐ営み
▼日本三大庭園の一つ、水戸市の偕楽園で、ホタル再生の取り組みが進められている。梅や桜の季節に続く、初夏の風物詩として親しまれるホタルを次世代へつなげようという活動だ。水路や餌場の整備には地域の子どもたちも協力した。学習会や放虫イベントも行われている。夜の水辺に浮かぶ幻想的な光は豊かな自然を感じさせるが、その環境は決して自然任せでは維持されない
▼ホタルは「水がきれいならば生息できる」と思われがちだが、幼虫の餌や湿った土壌など多くの条件が必要だ。さらに重要なのは、その環境が継続して保たれること。ホタルは豊かな自然の象徴であると同時に、人の営みの中で生きる生物でもあると専門家は語る
▼ホタルの幼虫は、そうした手の入った水辺で育まれてきた。農作業が結果として生息環境を守り、生態系のバランスを保っていたのである。自然豊かな場所であればどこでもホタルが増えるわけではなく、人の営みがあってこそ成り立つ。しかし近年は都市化や管理されない農地や水路が増え、かつては偕楽園周辺の至るところで見られたが、30年ほど前に一時は姿を消したという
▼自然は「手を加えないこと」が理想のように語られることもあるが、日本の里地里山では適切な管理こそが環境保全につながる。ホタルの生息環境の回復もその延長にある。ホタルを守ることは水を守ること、そして地域の環境を守ることでもある
▼偕楽園での取り組みは、ホタルを増やすだけでなく、人と自然の関わりの大切さを伝える試みだ。私たちが自然とどう関わり続けるか。小さな光は、そのことを静かに教えている。(茨城・TH)















