2025/12/23
クマ(困)った問題(新潟・KW)
クマ(困)った問題
▼クマ被害に関するニュースが注目されている。出没報告の多い秋田県や新潟県では、クマの出没情報をウェブページに公開し周知を図っている。新潟県の「クマ出没マップ」によると、11月21日の時点で出没件数3096件、人身被害は16件発生。過去に最も出没件数が多かったのは2023年の2134件で、明らかに急増している
▼地すべり被災地の取材では、参加者全員がクマ鈴を鳴らしながら山地を歩いた。マップで検索すると、過去にもクマ目撃情報が数件あった現場と判明し、これまでに経験したことのない類の緊張感を味わった。万が一に備え、撃退スプレーの1本でも準備しておきたい
▼従来の鳥獣保護管理法では、住宅密集地での猟銃の発砲は原則禁止されていたが、9月から始まった緊急銃猟制度では市町村長が主体となることで柔軟な対応が可能となった。環境省によると、11月19日時点で全国では30件の緊急銃猟を実施。うち7件が新潟県内で、都道府県別では最も回数が多い
▼県は8000万円規模の対策費を補正予算案に盛るなど対応しているが、現場で実際に活動する猟師の高齢化や人手不足が一番の悩みの種だ。1975年ごろに50万人以上いたハンターは、現在では14万人程度に減少した
▼行政は、自治体職員でありながらハンターを兼務する「ガバメントハンター」の育成や、AI技術を活用したクマ遭遇リスクマップの開発など新しい対策手法を試みている。今年のクマ被害は、これまでに経験したことのない災害級の出来事に思う。「安全・安心な暮らし」と「自然との共生」の間にどこで線を引くかが重要だ。(新潟・KW)















