荒川上流河川、萩原所長就任インタビュー

「令和元年東日本台風からの再度災害防止をしっかり進めたい」と抱負を語る。特に大きな被害が発生した入間川流域で緊急治水対策プロジェクトが進められており、2025年度は事業期間の最終年度。「次期出水期までの完成を目指し、河道掘削と堤防整備などを着実に推進していきたい」と力を込める。
インフラDXも重視している。現在、荒川調節池工事事務所で整備中の第二・第三調節池について、荒川上流河川事務所が「将来的には管理を担う」ことが決まっている。「今の段階から管理の高度化、省人化のための方策を考えておく必要がある」と強調。
維持管理側からの要求事項を整理して「工事の段階でどのようなデータが必要となるのか明らかにすることが重要」とみている。両事務所の連携体制を整えたところで、これから「本格始動する」ことになる。
「気候変動への対応も急務」と捉えている。「2040~50年ごろには、降水量が1・1倍、洪水発生頻度が2倍になるとされており、現行の治水対策が完了しても、河川整備計画の目標とする治水安全度が目減りしてしまう」
対応するためには「流域治水の取り組みを加速化・深化させる」必要がある。荒川水系では24年3月に流域治水プロジェクト2・0に更新。追加で必要となる対策案について流域関係者間で共有した。
「そのポイントは、いかに早期に効果を発現できるか」と唱える。「洪水を効果的に調節するために、既存既設の有効活用を検討していく」ことが打ち出されている。
流域の首長とコミュニケーションを取る中で「荒川の広大な水辺空間を生かした地域のにぎわい創出を望む声がとても大きい」ことを実感したという。このため「『上尾市かわまちづくり』をはじめ、地方創生を担う取り組みを推進する」ことにも力を注ぐ。
3月までは国交省本省の技術調査課で改正品確法に密接に関わった経緯がある。「入札制度を通じて中長期的な担い手の育成・確保に資する取り組みを積極的に進めたい」としている。
仕事をする上では「準備してきたことしか本番では役に立たない」という考え方を大切にしている。趣味はサッカー観戦。自身もフットサルを楽しんでいる。
東京工業大学大学院理工学研究科修了。2012年入省。北陸地整企画課長、国土交通省水管理・国土保全局治水課長補佐、大臣官房技術調査課建設技術調整室課長補佐などを経て、4月より現職。茨城県出身、38歳。