コラム

2020/10/02

補償はなくても保証を(埼玉・YM)

補償はなくても保証を


▼競馬場に取材に行くと、普段と違う雰囲気に気が付く。コロナ渦で、観客がおらず、広い場内がガランとし、売店は軒並み閉まっている。インターネットで馬券を購入できるとはいえ、全体的な売上減は避けられそうにない。レース中止ともなれば、億単位の売上金が飛ぶため、関係者は気が気でない


▼9月補正予算が一段落した。コロナ対策として、民生費が増加した印象だ。一方で土木費を減額する自治体が多い。予定していた工事や業務が相次いで中止となった。議会案件級の大型事業も中止になるなど、営業計画を修正せざるを得ない企業も多い


▼着工済みの現場では工期を延期しやすい環境が整っている。とはいえ「資金繰りに苦戦」との声が挙がる。そこで、中間前金払と既済部分払が役に立つ。国土交通省は3月、手続きの簡素化、迅速化を関係機関に通達。特例措置として併用が可能となり、最大9割を竣工前に受け取ることもできるようになった


▼埼玉県は近隣都県と比較し、中間前金払などの導入率が最下位だ。導入自治体が増えているとはいえ、県西部や県南部に未導入が多く見られ、自治体間での温度差は否めない。ある担当者は「建設業のため、他都県との隔たりをなくすために導入してほしい」と述べる


▼地元企業は大手と比べて体力がない。そこで発注者は地元優先の工事発注に加えて、中間前金払などの制度導入が必要だ。発注者の責務として地元企業を守り、育成することが、地元経済の支援、災害復旧に大きくつながる。競馬に外れても補償はないが、建設業には、いざというときに保証がある環境であってほしい。(埼玉・YM)


厳選されたコンパクトな記事で
ちょっとリッチな情報収集

建設メールはこちら