コラム

2021/04/09

旅は道連れ世は情け(長野・HK)

旅は道連れ世は情け


▼今ほど旅行への欲求が高まっている時はないのではないだろうか。旅行に限らず、ありとあらゆるレジャーを封印され、自宅に閉じ込められたまま。緊急事態宣言が解除されただけで多くの人が街や観光地に繰り出している。人々が旅行に求めるものは非日常であったが、今ではこれまでの日常が懐かしい


▼車も新幹線も航空機もないその昔では、旅なるものは非常に厳しいものであったと想像できる。江戸の人々が楽しみとしていたお伊勢参りには片道およそひと月を要したとか。一世一代の大イベントに対する思いとともに、その気力と体力には頭が下がる


▼気の向くままにのんびりと一人旅もまた乙なものでもあるが、一方では何かと不安な面があるのも事実。同行者を求めたくなる気持ちも分かる。天竺を目指した三蔵法師の玄奘(げんじょう)しかり、鬼退治に向かった桃太郎もまたしかり。大義を成し遂げようとするならば、お供には何かと勇気づけられたであろう


▼旅は何かと人生になぞらえられる。人として生まれ成長していく旅路の中で、他人との触れ合いは欠かすことはできない。言葉を交わし、思いを伝えるが、その付き合い方次第で豊かにも貧しくもなる。いまだかつて経験したことのないような厳しい壁にぶち当たっている昨今の状況であれば、言わずもがなである


▼コロナの終息を願う気持ちは皆同じ。しかしながら、移りゆく時代の動きの中に一石が投じられたこの事態とどのように向き合うか。大きなうねりの波紋に乗るも乗らないもその人次第。人と同様、社会の動きとの付き合い方も思案のしどころなのかもしれない。(長野・HK)


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