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神奈川県相模原市

相模原市と町田市が小田急多摩線延伸に向けた研究結果を公表

2014/05/28 日本工業経済新聞(神奈川版)

 小田急線多摩線の延伸を計画する相模原市と町田市では26日、延伸実現に向けた研究結果をまとめ公表した。唐木田駅(多摩市)から町田市内に新駅を置き、JR相模原駅を経てJR相模線上溝駅に至るというルートで、工事費は940億円と見込み、諸経費140億円を含めた建設費を1、800億円と試算した。同日、町田市役所で行われた首長懇談会において石阪丈一町田市長と加山俊夫相模原市長は延伸に関し、意見を交わし、今後、平成39年度までの延伸の実現に向け取り組みを進めることなどで覚書を交わした。

 小田急多摩線の延伸は12年の運輸政策審議会(当時)において、唐木田からJR横浜線、相模線方面への延伸について「今後整備について検討すべき路線」として位置付けられた。

 両市では18年に検討会を設置し、検討を図り、24年に両市と学識者、小田急電鉄をメンバーとする研究会を発足し、今回の研究に取り組んできた。

 研究結果によるとルートは、唐木田から町田市の北部丘陵地域を抜け、相模原駅を経て上溝駅に至るもので、途中に置かれる町田市内駅は高架2層構造、相模原は地下2層構造、上溝は高架構造とした。工事費940億円と見込み、内訳は用地費100億円、土木費560億円、設備費280億円で、これに測量、設計90億円と税金50億円を加えた1、080億円を建設費と試算した。また、駅の概算建設費は町田市内駅が65億円、相模原駅が220億円、上溝駅が85億円と見積もった。

 一方、実現に向けての前提となる需要予測と事業採算性について、事業方式を神奈川東部方面線で用いている都市鉄道利便増進事業(この場合整備主体は公的、営業主体は小田急電鉄)を採用し、38年で一日あたりの輸送人員を7万人弱、52年で6万2、000人と見込み、累積資金収支黒字転換年を開業後27年~36年と数字を弾いた。また整備効果について、鉄道プロジェクト評価手法マニュアルに基づいた分析では、30年で1・5、50年で1・7と結果となり、社会的に効率的な事業と判断した。

 一方、実現に向け、浮かび上がった課題に関し、財源の確保のほか、関係者の合意形成、需要予測の検討の深度化、沿線地域におけるまちづくりの検討、バス路線網の再編などをあげている。

 研究結果は同日、町田市役所において開催された第20回町田市・相模原市首長懇談会で示され、両市は平成39年度までの延伸の実現に向け取り組みを進めること。次期交通政策審議会答申での位置付けや沿線のまちづくり計画の策定など必要な事項について、積極的に取り組みを進めることで合意し、覚書を交わした。


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