相模原市が南部地域(南区)の交通政策の一環として検討を進める新しい交通システムの導入に関し、有識者、住民らで組織する「新しい交通システム導入検討委員会(委員長・中村文彦横浜国立大学大学院教授)」の第9回が7日、南区役所において開催された。連結バスの走行を前提に、相模大野駅~原当麻駅間のルート案の検討と、それに見合った運行形態について意見を交わした。27年1月の答申を目指し、審議を継続する。
南部地域の交通は、小田急線相模大野駅を中心に、そこから離れた場所に立地する北里大学・病院、麻溝台工業団地、女子美術大学等へは、バスが公共交通の中心となっている。市によると、道路網を構築する路線が少ないことから県道52号(相模原町田)等で慢性的に道路が混雑している状況で、バスの定時制、速達性が確保されていない。輸送力も限界に達しているという。
この日は、厚木市、千葉市などで運行している連結バスを走らすことを前提に、市が示したルートの検討とそれに合った運行形態に関し意見を交わした。
運行形態については「一般車と区別し、専用走行路を走る」、「バス専用レーン」、「バス優先レーン」、「一般車の流入を規制」の4案を基に、各区間においてふさわしい形態を検討した。
相模大野駅周辺では、用地買収が困難、商業施設の荷捌きに支障が出ることなどから、場所に応じて、流入規制、一方通行、専用レーンを走るという組み合わせで単線の循環ルート(時計回り)で進むと言う案。
駅周辺から県道52号(若松小前交差点付近)までは、事業費、工期、用地取得による沿道への影響を考慮し、地下に専用道路を造り進むルートは見送り、既存のバスルートを進み、交差点改良、バスベイ整備での対応を図ることとした。
県道52号の区間のうち、若松小前交差点から県道507号までの交差点区間は4車線拡幅事業に合わせてバス専用走行路を設けるという案で合意が図られている。
県道507号交差点から女子美術大、相模原公園前、フィッシングパーク前を経て原当麻入口交差点までは、県道区間では専用走行路で、市道区間は交通量やバスの利用状況などを踏まえ、道路の拡幅整備により専用走行路を設置しなくとも、各区間の一般者の交通量は少なく、一般レーン走行で十分に定時制・速達性は確保できるという案だ。
委員からは、直近の交通量や渋滞長のデータなどに基づいて議論を進めるべきとの提案がされたほか、市の案が用地買収を避け、事業費を抑えた案であり、既存バスの改良にとどまっている。速達性の視点などから新しい交通システムへの転換が図られないのではという意見も上がった。これに対し、市では新たなデータを求めていく考えを伝えた。
検討委では、中間駅の設置箇所を含め、引き続き、ルートと運行形態に関し、議論を重ねていくこととした。