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花角英世新潟県知事インタビュー「住んでよし、訪れて良しの新潟へ」

2018/10/17 新潟建設新聞

 ことし6月に就任した花角英世新潟県知事にインタビューし、花角県政が目指す新潟県の姿や県政の課題、展望などを聞いた。花角知事は「住んでよし、訪れてよしの新潟県を目指す」とし、そのために建設業は欠かせない産業と語る。安全・安心の確保へ防災減災に最優先で取り組みレベルアップを図るほか、まちや駅、空港、港をつなぐ交通ネットワークの整備にも力を入れる考えを明かした。

 ―目指す新潟像は

 「住んでよし」「訪れてよし」の新潟県を目指したい。一番は安全で安心して暮らせること。安全で安心して暮らすために建設業は、災害対応や除雪など「住んでよし」の基礎の部分を支えている産業。「訪れてよし」には、新潟に魅力を感じ、多くの人に訪ねてほしい。人が来れば経済が活性化する。人を惹き付けるためにも、道路や交通などのネットワークが基盤となる。「住んでよし」「訪れてよし」の実現に建設業は欠かせない。

 ―県政への取り組み

 優先して取り組まなければいけない課題は「安心・安全」。自然災害が多発しており防災減災対策をもう一段レベルアップする必要がある。「数十年に一度」や「前例のない」が、繰り返されるのは、いままでの対策では足りないという証し。もう一段レベルアップし、事前対応型で災害を起させないための手当にもっと力を入れていかなければならない。財政の制約がある中で、優先的に事前対応、予防に力を入れて整備する基準や考え方を整理する。事前復興の概念で復旧復興ができる体制づくりをあらかじめしておくべき。国でも、いろいろな検証が始まっているが、県でも有識者の知恵をいただきながら整理したい。

 もう一つは、経済の元気、活性化へ高速道路や地域高規格道路、空港や駅、軌道系アクセス、長期では羽越新幹線など規模の大きなインフラの整備も進めていかなければならない。南海トラフの大地震が想定される中で日本海側の国土軸、交通軸がないと国自体が立ち行かなくなる。新潟県はまさに南北を貫く国土軸。さらに太平洋側と日本海側を肋骨のように横断してつなぐ磐越道や松本糸魚川道路などもしっかり整備する必要がある。

 県内で言えば地域、圏域の一体化、命の道路という意味でも上沼道など地域ネットワークを形成する道路に力を入れたい。

 防災減災は、優先順位の考え方も含めて来年度予算の中で、芽出しをしたい。国も検証を進めており、県もそれにあわせて考え方を整理する。

 空港への軌道系アクセスについては、当然、空港自身が活性化する努力がまず先にある。短期的に2次交通のバスの運用改善も進んでいるが、空港利用者が生まれる状況になれば、空港と駅、まちを便利につなぐことを考えるべき。空港や港などそれぞれのインフラが輝いてくれば、つなぐことに必要性、必然性が生まれてくる。

 補正予算や来年度予算で消費税への対応、経済への手当てを県としても考えていきたい。国からの予算確保に必要性や優先度を説明できるものを働きかけていきたい。国の予算執行は理屈なり優先順位が説明できて進む。絶対に理屈は必要。それが全てではないが、真正面から必要性や緊急性、何に困っているか、配慮してほしい部分など熱意を持って話していく。

 ―建設業にメッセージ

 建設業は新潟県の目指すべき姿に無くてはならない。安全・安心、多くの人を新潟に呼び込むために必要なインフラ整備を行い、支えている。県がやるべきことを着実に実行し、同時に建設業の企業努力もお願いする。起業創業、第二創業や事業領域の拡大など、建設産業に限らず新しいことに一歩踏み出そうとする人を応援したい。次々と起業、創業を目指す人たちが集まってくる新潟県を作りたい。それが経済の足腰を強くし、元気にしていく。建設産業に関しても、事業領域の拡大や新分野への進出など新しい取り組みに挑戦してもらいたい。



【略歴】

はなずみ・ひでよ

 1958年5月生まれ、60歳、佐渡市出身。東京大学法学部卒業後82年運輸省入省、国土交通省自動車交通局総務課長、大阪航空局長、海上保安庁次長などを歴任し2013年~15年には新潟県副知事を務めている。6月の知事選で初当選を果たした。外に出かけるのが好きで、「休日ができたら、ふらっとまち歩きをしてみたい」とし「歩きながら、どうやって元気にしていくかを考えたい」と語った。

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