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栃木県小山市

小山市、年明けに詳細設計、1.2㎞区間の河道拡幅、豊穂川が1級河川指定

2019/07/11 日本工業経済新聞(栃木版)

 小山市を貫流する農業用用排水路の豊穂川が、1級河川に指定された。今後は国土交通省の都市基盤河川改修事業交付金を導入し、河道拡幅、堤防整備、樋門増設に着手する。今年度は年開けをめどに河道詳細設計を委託。委託料は2400万円を見込んでいる。2020年度は用地測量や用地補償を委託し、21年度から用地交渉に着手。用地取得の推移を見ながら可能な限り早期に着工する。事業期間は7年間を計画している。安全安心なまちづくりを目指し、排水対策を強化する。

 指定区間は上流側の大日橋下流(立木1308-3)から下流側の1級河川思川合流点までの延長1・2㎞。指定は5日付。2015年関東・東北豪雨で、豊穂川流域では大規模浸水被害が発生。豊穂川の流量を可能な限り思川に流下させる。

 計画では思川との合流地点に逆流防止用の樋門を増設し、セミバック堤による河道を整備。現行の樋門は2門で毎秒の処理能力が40立方m。その横に1門を増設し、1・5倍の毎秒60立方mの処理能力に拡大する。

 合流部付近から上流側1・2㎞区間で河道を拡幅改修し、大行寺橋と新川橋は架け替える。市道1179号線に架かる大行寺橋は現行橋長15m、幅員2・8m、一般県道小山結城線に架かる新川橋は現行橋長28・5m、幅員6m。

 架け替え後は大行寺橋が橋長29m、幅員5m、新川橋は橋長44m、幅員11mになる予定。豊穂川予備設計は大日本コンサルタント宇都宮事務所が担当。履行期限は5月14日から12月9日まで。

 セミバック堤は本川の洪水を遮断しながら、支川の計画堤防高を本川の背水位を考慮して決める支川処理方式の一つ。豊穂川は右岸側が市街化調整区域、左岸側は市街化区域。右岸側の農地を買収し、河道を拡幅する。

 豊穂川は総延長6㎞、平均的な幅員は15・2m、高さは2・85mのブロック積み開水路。場所によって幅員や高さは変動する。 流域面積1824ha(市内1056ha)、農地面積1167ha(市内776ha)。思川に直接合流する。

 豪雨災害に見舞われた付近は思川と豊穂川とに挟まれ、地形は北から南へ向けて傾斜。排水施設の吐き口よりも豊穂川の水位が上昇した場合、フラップゲートが自動的に閉じる。ゲート閉鎖により、住宅地の雨水を排水できなくなった。

 思川の水位上昇に伴う豊穂川からの越流水が浸水被害増大を招いた。上流地域では豊穂川に排水できず、行き場を失った内水が地盤の低い場所に流れ込んだ。線状降水帯が居座り、その後は豊穂川そのものの溢水により被害が拡大した。

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