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長野県建設部須坂建設事務所,長野県長野地域振興局,(社)長野県建設業協会須坂支部

週休2日やICTは企業評価で/振興局は地域要件細分化検討/意見交換会

2019/07/26 長野建設新聞

 県建設業協会須坂支部(小林昌之支部長)は23日、県現地機関と意見交換会を開催し、入札制度から施工上の諸問題まで多岐わたり議論した。県が来年度の導入を予定する「週休2日やICT活用の取り組みを評価する総合評価落札方式」に対しては、「企業の取り組みであり、技術者の項目ではなく企業に加点する形が望ましい」との意見を伝えた。

 小林支部長は冒頭、須坂建設事務所による2018年度2月補正予算の迅速な発注や、他事務所に先駆けた小規模維持補修と除雪の一体かつ複数年契約の管内全域実施に謝意を述べる一方、18年度の管内事業量が市町村を含め非常に少なかったことを伝え「きょうは多くの意見、要望をさせていただく。次につながる有意義な会になれば」と期待。須坂建の勝野由拡所長は「県土強靭化のため18年度2月補正と19年度当初予算で当事務所にも大型の予算が付いている。皆さんの協力により、これまでは順調に発注できた。一定の事業量が見込めるこの機に週休2日やICT活用といった新たな取り組みにも積極的に参加し、建設産業の改革を進めてほしい。意見交換を通じて認識を共有し、相互の考え方を理解する中で、今後の円滑な事業の推進につなげていければ」と応じた。

 意見交換には県から須坂建と長野地域振興局農地整備、林務両課が参加。支部の要望・提案に県側が回答する形で進められた。

 入札制度の議論で支部は、新規工種の実績をつくるため小規模工事では同種実績要件を設けない案件を増やすよう要望。県が来年度の導入を予定する「週休2日やICT活用の取り組みを評価する総合評価落札方式」に対しては、「企業としての取り組みであり、技術者ではなく、企業に対して加点する形が望ましい」「履行実績証明書発行日から1年間という評価方法は厳しい」との意見が出た。

 また、地域振興局発注工事について所在地要件の細分化を求め、農地整備課から「公平性を考慮しつつ、建設事務所単位での細分化を検討する」との回答を得た。

 施工に関する議論では、立木や電柱移設など事前準備に万全を期すことや、観光シーズンに制約が予想される工事などは発注時期に配慮することを要望。「施工性や生産性を上げ、より良いものを造るための提案に対しては『設計どおりに』とはね付けず協議に応じてほしい」との意見も上がり、県側は「良いものを造りたいという思いは一緒。ただし、経済性や安全性なども考慮しなければいけない」と答えた。

 このほか支部からは小規模補修工事の1件当たりの上限額(現行200万円)の引きや上げ要望や、交通誘導員の確保が困難になっている現状が伝えられた。

 意見交換の後、須坂建の小林宏明企画幹兼整備課長は「率直なご意見を数多くいただいた。改善できるものは改善し、また改善に向かうよう本庁へ伝える。個々の現場で対応すべき問題があれば遠慮なく協議してほしい」と総括。小林支部長は「長時間にわたり真摯に回答いただいた」と謝意を表し、「発注量が増えれば監督員の負担も増える。大変なことは承知しているが、スムーズな工事の引き渡しに配慮いただきたい。また、働き方改革を推進するためには書類の簡素化が不可欠。若者が希望を持てる環境をつくるため、われわれも努めるので、発注者にも協力をお願いしたい」と締め括った。

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