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年度内に複数候補地選定/県の新しい産廃最終処分場/管理型、最大260万立方m

2019/07/31 日本工業経済新聞(茨城版)

 県は30日、第3回新産業廃棄物最終処分場整備のあり方検討委員会(委員長・大迫政浩国立環境研究所資源循環・廃棄物研究センター長)を開催し、整備の基本方針案を協議した。案では新たな産業廃棄物最終処分場について、県出資法人などを事業運営主体として管理型を整備する。埋立容量は170万~260万立方mを確保し、埋立期間は15~20年程度。候補地は段階的に絞り込み、2019年度内に複数の候補地を選定。21年度までに整備地を決定し基本計画の策定などを進め、23年度から建設工事を行い、25年度の供用開始を目指す。


 整備の基本方針は県がまとめ、8月~9月にホームページで公表する。次回の検討委員会は9月末か10月上旬に開催し、整備候補地の選定作業に着手する。

 候補地は県内全域を対象に整備可能な地点を調査・選定し、段階的に絞り込む。

 1次調査では、土地利用計画や防災、地形・地質など法令や立地の規制・制約区域を除外し、埋立規模を基に地形や浸出水処理、交通アクセス、周辺状況などを考慮して抽出する。

 2次調査では地盤や動植物、水処理などの専門的な観点から検討。3次調査では生活環境や経済性などによる比較検討や総合評価を行い、複数の候補地から最終候補地を県が決定する。

 検討委員会は本年度内に第6回まで開催し、複数個所に絞り込む。整備可能地調査業務は20年3月末までの納期で㈱建設技術研究所(東京都中央区)が実施している。

 整備基本方針案によると、新たな産廃最終処分場は公共関与の手法で整備を進める。事業運営主体は、廃棄物の適正処理と継続的な運営のため、県関与の管理型最終処分場「エコフロンティアかさま」(埋立面積9・8ha、埋立容量240万立方m、笠間市福田)の運営実績がある県環境保全事業団など、廃棄物処理センターの指定を受けた県出資法人などとする。

 同施設は約7年で埋立終了となるため、同施設の埋立完了を見据え、新処分場は25年度の供用開始を目指し整備を進めていく。

 新処分場の種類は、廃棄物の無害化や不溶化などの中間処理を行う「管理型」とし、形態は屋根の無い「オープン型」、被覆構造物で覆う「クローズ型」について、それぞれの特徴を踏まえ、候補地の選定とともに検討する。

 埋立期間については、施設整備の検討開始から供用まで少なくとも7~8年が掛かり、さらに次の新施設の整備を見据えると15年以上が必要となる。エコフロンティアかさまは20年程度の埋立期間でもあり、今回の新施設は15年~20年程度とする。

 埋立容量は170万~260万立方mを確保する。県内発生土の最終処分量の目標やエコフロンティアかさまの実績などを踏まえ想定した。

 中間処理施設を併設するかについては、廃棄物処理の動向や候補地周辺の民間処理施設の設置状況、用地確保などを勘案しながら検討していく。県内の中間処理施設は17年4月1日時点で364カ所。

 30日の検討委員会では整備方針案について、委員から「県民や市町村に丁寧な説明を」「処分場の整備によりエコタウンのような新たな雇用や産業が生まれる施策を」などの意見が出た。

 なお、エコフロンティアかさまは1998年に公共処分場立地調査会が設置され、2002年10月に着工し、05年8月に開業した。敷地面積は28・6ha。整備費用は合計246億5700万円で、内訳は最終処分場131億1500万円、溶融処理施設60億7000万円、浸出水処理施設12億9000万円、その他41億8200万円。



整備スケジュール(案)


基本方針・整備可能地検討 18~19年度

候補地決定・地元調整   20~21年度

基本計画・用地取得・

環境影響評価・実施設計  20~22年度

建設工事         23~25年度

供用開始         25年度



整備基本方針案の概要


種類     管理型

埋立期間   15年~20年程度

埋立容量   170万~260万立方m

中間処理施設 有無を検討

候補地の選定 段階的に絞り込み県が決定

事業運営主体 県出資法人など



【写真=県の検討委員会】

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