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埼玉県行田市

石井直彦行田市長インタビュー

2019/08/09 埼玉建設新聞

 官から民の行政運営を――。市民目線のまちづくりを目指し、今年4月の市長選で初当選を果たした石井直彦行田市長に市政への思いを聞いた。行田・鴻巣・北本の3市で進める広域ごみ処理施設の建設計画では、総事業費の明確化や、建設地として市内用地の活用を主張。「3市にとって最も良い選択をしていきたい」と話す。また、南の玄関口となるJR行田駅では、東口駅前広場の再整備が大詰めを迎えた。「一番大事なのは市民が喜ぶまちづくり」と、市民ファーストの市政を強調する石井市長のこれからに期待したい。


■就任に当たり今後の抱負を教えてください

 良い行政運営には市民目線による判断が欠かせないと思っています。私はこれまで民間企業で働いてきましたので、そこで培った民間感覚を生かし、問題点は積極的に解決していきたいですね。

 例えば、本市は観光に力を入れていますが、市外の人だけでなく、市民も一緒になって活動できるような市民参加の機会をもっと増やさなければという課題があります。市民参加と観光行政は通底していると考えます。市民が参加しない観光行政は成り立たないでしょうし、まちづくりも市民参加があってこそ。

 観光で市外から来てくれた人が喜んでくれるのも大事ですが、一番は市民が喜ぶまちづくりだと思います。ですから、観光行政をはじめ、市政全般を市民ファーストで考えていきたいですね。そうすることで市民の幸福度が上がり、それが観光を含む市全体の活気につながっていくと信じています。


■行田市の特徴・強みについて

 観光資源が豊富なところですね。埼玉古墳群をはじめ、古代蓮の里、忍城、成就院三重塔など多くの見どころが市内各地に点在しています。市街地にも小さい古墳がたくさん隠れていまして、そういうのを見て回るのも楽しいですよ。

 また本市は古くから河川や水路が発達してきた土地です。市役所周りでもきれいな水路がめぐっていますし、県が主導した忍川の親水化整備も完了しました。河川や用水沿いには遊歩道やサイクリングロードも整備されています。秋になると、利根川を遡上する鮭を見ることもできるんですよ。

 そのほかにも、映画『のぼうの城』やドラマ『陸王』の舞台になった場所でもありますから、本市の強みとして観光を生かさない手はないですね。


■広域ごみ処理施設の見直しについて

 可燃ごみ処理施設の小針クリーンセンターが老朽化しているため、13年5月に行田・鴻巣・北本の3市で、鴻巣市内に新たな広域ごみ処理施設を建設する「ごみ処理広域化の推進に関する基本合意書」を締結しました。

 しかし、建設に要する総事業費が示されておりませんので、事業主体となる鴻巣行田北本環境資源組合に対して、総額の明確化を求めているところです。3市共同で行う事業ですから、3市のメリットが明確でないといけません。青天井でやれることでもありませんので、総額をきちんと示した上で市民目線に立った事業を進めていくべきだと思います。

 また、総額が出てくれば建設地についても比較ができます。その比較材料の一つとして、本市での建設も提案した次第です。総事業費をはじめ、3市できちんと情報を共有し、事業が見切り発車にならないよう、3市にとって最も良い選択をしていきたいです。


■JR行田駅前広場周辺再整備について

 行田駅は通勤・通学利用者をはじめ、本市における南の玄関口として多くの方に利用されています。再整備事業では、交流拠点として駅周辺のにぎわい創出を図るとともに、江戸時代に忍藩10万石の城下町として栄えた“行田らしさ”を一層感じてもらうことを目的としています。

 具体的には東口駅前広場の拡張整備、市営駐輪場の機能強化に取り組んでいます。

 駅前広場では、隣接する旧壱里山公園跡地約1600㎡を拡張用地に当て、19年度中に既存広場の一部を合わせた約3300㎡の新たな駅前広場を完成させる計画です。

 合わせて駅前広場にシェルターの設置も進めており、18年度は2件の工事を発注しました。19年度は3件の工事をこれから発注する予定です。

 また、駅前にある駐輪場の拡大整備も19年度に実施します。現在の敷地面積318㎡(駐車台数350台)を、新たに783㎡(約700台)に広げる計画で、20年1月の供用開始を目指します。


■最後に市内建設業者へ一言お願いします

 通常の公共工事ばかりでなく、災害時など市政の多くの面でご協力をいただき、大変ありがたく思っています。大雪の際の除雪対応などがその一例です。数年前に発生した大雪の際には、市内の建設業者を中心に迅速な除雪作業が行われ、被害を最小限に抑えたと聞いています。本市の安全・安心が保たれているのも市内業者の活躍のおかげです。これからも行政と一体となって歩んでいただきたいですね。

 また、市内業者が元気でなければ本市も元気ではいられません。業者の皆さまも経済の担い手でありますので、できるだけ受注機会を増やせるよう引き続き取り組んでいきます。


■略歴

 1943年生まれ(現75歳)。明治大学商学部商学科卒。63歳のときに明治大学公共政策大学院に入学し、元東京都副知事の青山やすし氏に師事。事業評価や危機管理などを学んだ。

 職歴は民間一筋。野村證券での勤務を経て、家具の島忠に就職。本部で20店舗の開店に携わったほか、計数管理責任・店舗指導に従事。現在は石井そろばん教室・石井英数教室を経営している。

 趣味はグランドゴルフやターゲットバードゴルフ、ソフトボール。最近は視察で訪れた幼稚園などで、子どもたちとの交流が心の癒しになっているという。


【写真】

①=石井市長

②=市のマスコット こぜにちゃん(左)、フラべぇ

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