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下野市、下野SIC、20年度下期に一部着工、年内に3者合同説明会、県は羽生田上蒲生線を線形改良

2019/08/30 日本工業経済新聞(栃木版)

 下野市の下野スマートIC整備事業(上古山、下古山)は、着工へ向けた関係機関の協議調整が大詰めを迎えている。北関東自動車道と交差する市道1-2号線に東西線への乗り入れ口を整備。1-2号線を分岐し北料金所へ向かう東行き線、南料金所へ向かう西行き線を接続。併せて市道1153号線を拡幅改良し、主要地方道羽生田上蒲生線との交差部の線形は外側に付け替える。11月を目途に市、NEXCO東日本、県栃木土木事務所が共同の地元説明会を開催。合意が得られ次第、用地測量、不動産鑑定、物件補償算定を委託する。2020年度は用地交渉に入り、下半期には用地取得に影響しない範囲の工事に着手する予定。21~22年度で工事を本格化させ、23年3月の完成を目指す。

 国土交通省は17年7月、下野スマートIC(仮称)を準備段階調査個所に採択。18年8月には新規事業化が決定。準備段階調査から1年後に事業化されたのは味坂スマートIC(福岡県)とともに全国で2カ所のみ。短期間でのゴーサインは異例。

 総事業費は約27億9000万円(市負担金約3億1000万円)を見込んでいる。市は単独事業で付帯工事費約8億1000万円を投入する。東北新幹線の上を横切る東側は地上約30mまで高架化され、西側の盛土区間(延長約80m)を活用する。

 【本線直結型のラウンドアバウト】

 盛土区間なら高さ約7mで北関東道へ接続できる。工事費圧縮は盛土区間への接続が妥当。位置は壬生IC~宇都宮IC間の8・4㎞。壬生ICから3・4㎞、宇都宮上三川ICから5㎞。接続方式は北関東道では県内初となる本線直結型のフルアクセス型。

 ゲートはラウンドアバウトを採用する。ETC不搭載車両が誤進入した場合、高速道に乗り入れることなく一般道に戻れる。進入車対応制御バー6本を設置。車両がラウンドアバウト内に進入している間、他の車両が出るまで車両用ゲートは開かない仕組み。

 【市道1-2号線から東西線を分岐】

 市道1-2号から枝分かれする東進線と西進線は途中の料金所までは市が施行し、料金所の先からはNEXCOが施行する。高速道までの接続距離は北側の東進線は延長約500m、南側の西進線は延長約450m。幅員は約11・5m~約8m。

 【市道1153号を拡幅改良】

 市道1153号線の拡幅改良は市が負担金を支払い、NEXCOに施行を依頼。出入りする工事車両の錯綜を避け、安全性を重視する。1153号線は都市計画道路3・5・806号江曽島石橋線に都市計画決定されている。

 市内区間は石橋小学校東側を南北方向に縦断する延長約2360m(上古山~下古山)。うち石橋北小南交差点を南進し、北関東道をくぐった延長約300m区間の現況幅員約8mを約15mに拡幅。ボックスカルバートと同じ幅を確保し、両側には歩道を整備する。

 市道の交差部3カ所、羽生田上蒲生線の交差部2カ所にボックスカルバートを新設。通過交通量の増加を見越し、通行車両や石橋北小への通学児童の安全を最優先する。一時停止標識や信号機の設置位置、数を道路管理者間で十分に協議していく。

 【羽生田上蒲生線線形改良】

 1153号線と交差するのが壬生町~下野市~上三川町間を結ぶ主要地方道羽生田上蒲生線。一部が高速道の側道の役割を有す。平成成橋付近から分岐し、北関東自動車道の両側を並走する。料金所方面との交差部はボックス区間となる。

 スマートICから北関東道本線に乗り入れるランプ部や変則車線の設置により、高速道の拡張は不可避。北関東道の副道機能を果たす羽生田上蒲生線は外側に緩い湾曲を描く形で付け替える必要性が生じた。

 移設区間の延長は約600m。県栃木土木事務所は詳細設計をシー・アイ・エス(宇都宮市)に委託済み。地元説明会を経て年度内には用地調査や用地測量を委託。21~22年度で線形改良を施工し、市道やスマートIC整備と歩調を合わせて付け替える。

 【災害時の経路を確保】

 市道1153号線と羽生田上蒲生線交差部に位置する石橋第2工業団地から、壬生ICへの到達時間は現況約11分。IC整備後は約6分短縮の約5分(約4㎞)で到達。エネルギー供給基地「宇都宮貨物ターミナル」への国内物流機能が向上する。

 市北部の石橋地区周辺はJR宇都宮線と東武宇都宮線、姿川、新川、田川に挟まれた地域。15年の関東・東北豪雨では東西軸の羽生田上蒲生線(第2次緊急輸送道路)が不通になった。現状では国道4号に救援活動や物資輸送を頼らざるを得ない。

 陸上自衛隊宇都宮駐屯地は、災害時の広域進出拠点。首都圏方面への出動は100%を壬生ICに依存し、東北方面でも3割が壬生ICを利用。南海トラフ地震では応急対策活動に駆け付けなければならず、緊急時の交通環境整備が待たれている。

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