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栃木県足利市

足利市、廃棄物処理 余熱利用体験施設、入浴施設やプールを整備、3階建て3000平方mを想定

2019/09/03 日本工業経済新聞(栃木版)

 足利市は、一般廃棄物処理施設整備に伴う余熱体験施設の概要案をまとめた。南部クリーンセンター(野田町826-1)の建て替えに際し、温水を用いた余熱の有効利用施設を建設する。規模は3階建て延べ床面積3000平方mを想定。1階が余熱体験施設となり、2~3階が管理棟や啓発施設。廃棄物処理施設は2021年度までに設計を済ませ、22年度に着工の予定。総事業費は約200億円を見込んでいる。廃棄物処理施設の更新計画と並行し、余熱体験施設の整備方針を検討している。

 余熱体験施設は入浴施設、プール、飲食スペース、休憩所、物販スペース、大広間で構成。1階の余熱体験施設と2~3階の管理棟・啓発施設の出入り口は別々にし、利用者動線を明確に区分。東側の新焼却施設とは渡り廊下で結び、見学者通路とする。

 基本方針は①様々な年齢が利用できる施設②市が推進するスマートウェルネスシティあしかがの3つの取り組み目標「健康づくり」「いきがいづくり」「にぎわいづくり」の実践施設③地域活性化に資する施設④費用対効果や経済性に配慮した施設。

 テーマを「スポーツプラス健康コミュニティ」に掲げ、入浴施設は大浴場、多機能風呂、サウナ整備を通じ心身の疲労回復を促進。温水プール活用による子どもから高齢者までが参加できる多彩なプログラムを提供。100人程度がくつろげる大広間を整備する。

 余熱体験施設はエントランスホール内に男女別や多目的トイレ、物販スペース、休憩ラウンジ、事務室、会議室を配置。エントランス奥に男女別入浴施設、温水プール、男女別更衣室・シャワー室、厨房、飲食スペース、大広間、機械室を設ける。

 25mプール5コース隣を柵で仕切り、低学年プールとする。近年は水圧の高いプール内を歩行し、体に負荷をかける健康法が普及。プールの形状は地元自治会と十分に協議し、合意形成を図っていく。浴室への露天風呂設置要望もあり、実現可能性を検討する。

 配置計画は余熱体験施設の西側が新ストックヤード(約2500平方m)、北側が一般利用者用駐車場、東側は新焼却施設(約5670平方m)、高さ約60mの煙突、新リサイクル施設(約2480平方m)、計量棟、従業員駐車場、調整池。

 今年度当初予算では新廃棄物処理施設整備事業に2億6775万7000円を措置し、隣接地の拡張用地(農地)の取得を進めている。基本構想では焼却施設の処理能力は日量170㌧、リサイクル施設の選別処理能力は日量15・8㌧に設定した。

 北側は1級河川渡良瀬川が東西方向に流れ、西側と南側、東側は農地に囲まれている。既存施設の敷地面積はクリーンセンターが1・5ha、地域還元施設(農業研修センター、運動場)が1・2haの計2・7ha。東側の農地を買い増し5・7haの広さとする。

 焼却炉は2基整備。処理方式は「ストーカ式焼却炉」「流動式ガス化溶融炉」「シャフト式ガス化溶融炉」のいずれかを選択。事業提案内容や総合的に評価して選定する。排出される処理残渣(焼却灰、飛灰、溶融スラグ)は資源化し、最終処分量を極力削減する。

 リサイクル施設は粗大ごみや不燃ごみの処理、ペットボトル、ビン、缶を選別する。リサイクル施設西側のストックヤードでは資源物や有害ごみを一時保管。保管量は施設への搬入や搬出日数から勘案し、日量12・2㌧とする。

 排出ガスは法規制値を大幅に下回る自主規制値を設け、地域住民の不安解消に努める。騒音や振動はいずれも50デシベル以下とし、臭気指数は県の規制基準の18とする。排水は施設内で処理し、再利用を図っていく。

 既存の南部クリーンセンターは1982年の供用開始以来、40年近くが経過。老朽化が著しく、建て替えが決まっている。現施設の余熱は隣接する農業研修センターへ温水を供給中。新施設稼働後に旧廃棄物処理施設は解体撤去する。

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