県は、台風19号災害復旧工事を円滑に実施するため発注手続きを迅速化するとともに、技術者の配置要件を緩和する。発注手続きでは予定価格を事前公表し、指名競争入札の対象を1億円未満に拡大。1億円以上は見積もり期間を短縮する。技術者は一定の条件下で現場代理人の兼任を3カ所まで認め、金額要件の上限額を撤廃する。県土整備部、農政部、環境森林部、企業局で2021年3月31日までに発注する工事に適用する。
台風19号の災害復旧工事の入札は予定価格1億円以上を原則条件付き一般競争とし、最低制限価格制度を適用。15年の関東・東北豪雨災害復旧では2億円以上に適用規定があった総合評価落札方式は適用しない。
また、予定価格1億円以上では見積もり期間を10日以上に変更。通常工事で15日以上としている期間を短縮する。予定価格は入札を迅速、確実に執行していくため金額に関係なく事前公表に切り替える。
現場代理人の常駐義務に関しては2カ所まで認めていた兼任個所を3カ所まで拡大。請負代金5000万円未満としていた金額要件も撤廃する。
主任技術者については2カ所までの兼任を維持し、金額の要件を変更。3500万円以上5000万円未満としていた要件を3500万円以上に見直した。
現場代理人、主任技術者とも同じ部局であれば、その部局の同じ事務所管内の工事で兼任を認め、他部局の工事はその市町の区域内で兼任を認める。
施工条件書などに兼任ができることを明記。他部局の工事と兼任する場合は、他部局の監督員と兼任の可否について協議する。現場代理人は3500万円以上の兼任工事ではこれまでと同様に連絡員を選任し常駐させる。
また、主任技術者、監理技術者の途中交代の要件を緩和。職務を継続できない場合、工期や工事内容に大幅な変更が生じた場合には途中交代を認める。技術者の配置に関する事項は災害復旧と通常の工事に適用する。
また、働き方改革にも関わる部分で原則として全工事に適用している余裕期間の見直しを実施。堤防を仮復旧で押さえている個所など災害査定を待たずに発注する応急本工事には余裕期間を設定しない。災害復旧工事は条件指定方式を適用せず、原則任意着手方式のみとして60日以内で余裕期間を設定する。
災害復旧工事の円滑実施に向けた取り組み概要は次の通り。
【発注手続きの迅速化】
▽入札方法の迅速・簡素化=1億円未満は指名競争、1億円以上は原則として条件付き一般競争
▽見積もり期間の短縮=1億円以上は10日以上(縮小規定)
▽予定価格の公表=事前公表
【技術者の配置要件緩和】
▽現場代理人の常駐義務(①②③を満たせば緩和)=①同一の事務所管内の自部局の工事または同一の市町区域内の他部局の工事で、その施工条件書等に兼任可能な旨が明記されているもの
②兼任個所は3カ所まで
③3500万円以上の場合は連絡員を選任・常駐
▽主任技術者の兼任(①②を満たせば認める)
①同一の事務所管内の自部局の工事または同一の市町区域内の他部局の工事で、その施工条件書等に兼任可能な旨が明記されているもの
②兼任個所は2カ所までとし、請負代金が3500万円以上
▽主任技術者及び監理技術者の途中交代(①②のいずれかの場合認める)
①主任技術者、監理技術者など職務を継続できない ②工期・工事内容に大幅な変更が発生
【働き方改革】
▽余裕期間設定工事は応急本工事には設定しない。災害復旧工事には原則、任意着手方式、60日以内で設定