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足利市廃棄物処理施設、23年度から3カ年で建設、DBO、総工費306億試算、来年6月から事業者公募

2019/12/10 日本工業経済新聞(栃木版)

 足利市は、一般廃棄物処理施設整備基本計画の原案をまとめた。事業手法はPFI等導入可能性調査で検討した結果、市初のDBO方式(設計・施工、運営)を採用。特別目的会社(SPC)を設立し、運営期間は20年に設定する。2020年6月から事業者を公募し、21年2月に事業者を選定。22年度は実施設計。23年度から25年度にかけて新クリーンセンターを建設する。26年度から27年度に南部クリーンセンターを解体し、28年度にストックヤードを建設する。概算事業費は306億円を見込んでいる。

 施工監理委託5億円、焼却施設188億円、余熱体験施設36億円、リサイクル施設29億円、解体21億円、造成・調整池18億円、ストックヤード9億円と試算。これら以外に進入路整備費、特別高圧線引き込み工事負担金、災害用井戸掘削費が必要。

 北側を1級河川渡良瀬川が東西方向に流れ、西側と南側、東側は農地に囲まれている。既存施設の敷地面積はクリーンセンターが1・5ha、地域還元施設(農業研修センター、運動場)が1・2haの計2・7ha。東側隣接地を買い増し5・7haの広さとする。

 焼却施設(エネルギー回収型廃棄物処理施設)、マテリアルリサイクル推進施設(リサイクル施設、ストックヤード)で構成。焼却能力は日量170㌧、リサイクル施設の選別能力は日量16・3㌧、ストックヤードの規模は107・5㌧(保管日量10㌧)と算出。

 焼却施設はごみ計量機2基(入退場用各1基)、最大秤量30㌧、最小表示10㎞、ICカードリーダー方式で計量する。プラットホームは浸水想定レベルを超える位置に配置し、高さ8・5m、床幅20m以上。ごみピット容量は8000立方m以上(7日分)。

 ごみクレーンは2基(交互運転)、前処理設備は可燃性粗大ごみ破砕機が1時間1㌧程度の処理能力1基。燃焼・溶融設備焼却処理方式は①ストーカ式焼却炉②流動床式ガス化溶融炉③シャフト式ガス化溶融炉-の3方式から選択。燃焼ガス冷却は廃熱ボイラー式。

 煙突は高さ59m。エネルギー回収率は17・5%以上。プラント排水はクローズドシステム(無放流)とし、生活排水は合併処理浄化槽で処理後に野田幹線へ放流。雨水の一部は植栽の散水に利用する。非常用発電機、無停電電源装置、集中監視操作設備を備える。

 マテリアルリサイクル推進施設は1階以上(高さ8・5m、床幅15m以上)。粗大ごみ、不燃ごみ、有害ごみ、缶、ビン、ペットボトルを受け入れる。不燃物は回転式破砕機で処理。缶は手選別コンベヤで回収。スチールとアルミ缶の圧縮機は2基ないし兼用1基。

 焼却施設とリサイクル施設は階高や柱割が異なるため、経済設計が可能な別棟とする。構造体はⅡ類(重要度係数1・25)、建築非構造部材A類、設備甲類。計画地は市景観計画で「田園的景観ゾーン」に区分。周辺環境に溶け込み、圧迫感のないデザインとする。

 施設計画は敷地が東西方向に長く、中心部に建物を配置。前面道路沿いに植栽ゾーンを設け、周辺地域への影響を緩和。ランプウェイ上のごみ収集車は見えにくくなるよう配慮。外部仕上げは経年変化が少なく耐久性の高い材料を使用。内部は環境状況を考慮する。

 南部クリーンセンター(野田町826-1)は1983年の供用開始以来、40年近くが経過。老朽化が著しく、建て替えが決まっている。費用対効果が高く、建設費、運営維持管理費、最終処分費を含めた全体処理コストの低減につながる施設とする。

 建設地は都市計画区域内の市街化調整区域(開発行為適用除外)。既存施設用地はごみ焼却場の都市計画決定済み。拡張用地は廃棄物処理施設またはごみ処理施設の都市計画変更手続きが必要。建ぺい率60%、容積率200%。2~5m未満の浸水想定区域内。

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