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山梨県甲斐市

日立造船に事業認可 甲斐市のバイオマス発電

2020/04/10 山梨建設新聞

 甲斐市の木質バイオマス発電事業で、プラントの建設・運営を担う日立造船(東京都品川区)が国から事業認可を受けたことが市への取材で分かった。今後市と基本協定を結び事業着手する予定だが、新型コロナウイルスの影響で協定締結の時期や整備スケジュール、稼働開始時期は流動的な状況になっている。

 市環境課によると、先月10日付けで同社は国から木質バイオマス発電所を立ち上げるのに必要となる、設備認定を取得。数日後、市に認定取得の連絡があった。市は開会中だった市議会でその旨を報告した。

 市は当初、2018年度中に同社との基本協定を結ぶ方針を示していた。だが協定内容の協議や国の設備認定に時間が掛かり計画に大幅な遅れが出ている。同社の認定取得により、ようやく基本協定締結のめどが付いたが、今度は新型コロナウイルスにより同社内の決済などが進められない状況になった。市担当者は協定時期について「コロナの動向による」と、現時点では見通しが立っていないとした。市が目指す2022年度の稼働開始は厳しい状況になっている。

 基本協定締結後は、市は議会に用地取得の承認を求め、用地買収を進める。並行して造成工事の設計に着手し、用地取得が完了次第、造成を始める。本年度の予算には造成の設計・工事、登記費など合わせて2億8214万5000円を計上している。

 同社は協定締結後、木材供給者らと、事業の運営などを行うSPC(特別目的会社)を設立。プラントの建設などを進める。建設地は双葉スポーツ公園(同市岩森)北側に広がる農地や山林、計2・2h。発電量は6950kWhを見込んでおり、施設内で使う分を除き全て売電する。

 市は建設地を用意し貸し出すことで借地料収入を得る。プラントで出る廃熱を提供してもらい、近隣の市営温泉やプール、給食センターの熱源として活用する。市は現在、これら公共施設で必要となる熱量を、施設の利用状況などから調べているが、昨年度が暖冬だったことや新型コロナウイルスで利用者が減ったことなど踏まえ、後1年程度は調査を続け、より正確な需要推計を出す方針。廃熱活用に関わるシステム整備は市施工で行う予定で、市は今後財源に国の補助金が活用できるかどうか検討する。

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