筑西市は板谷波山記念館で新記念館の整備を計画している。規模はRC造2~3階建て、延べ1200~1300㎡程度を想定。現時点では管理棟と展示棟を解体し、新施設を建設する考え。概算建物・外構工事費は約7億1000万~7億7000万円を見込む。2020年度は基本構想と基本計画の周知、広報などを進める予定。24年度の着工を目指す。
陶芸家・板谷波山の記念館は足跡を伝える施設として1980年に開館。95年には周辺を記念公園として再整備を実施した。その後は施設の大規模な改修などは行われておらず、全体の老朽化が進行している。
また作品の保全・保管における設備の不足や防犯上の課題、展示場所や教育普及活動場所の不足、新たな作品の寄贈などを踏まえ、ITなどの新しい技術を活用した新記念館の整備を計画した。
所在地は甲866-1で、敷地面積は1695・84㎡。現施設は波山の生家、管理棟、展示棟、作業棟などで構成。
生家が江戸時代に建てられ、W造平屋、53・47㎡。そのほか管理棟はW造平屋、31・4㎡。展示棟はRC造(一部木造)2階建て、延べ166㎡。作業棟はS造平屋、175・13㎡。
生家については維持管理を行いつつ、移設なども視野に入れて検討していく。作業棟は内部に設置されている窯などの移設が難しいことから、今後の方針を検討中だ。
新記念館は基本構想および基本計画で基本理念として「かつて美しき日本人が此処にいた」を掲げる。
収集保存(収蔵庫、荷解室、トラックヤード等)、展示(展示室、物品倉庫)、教育普及(多目的室等)、調査研究・管理運営(事務室、書庫、会議室、機械室等)、来館者サービス(トイレ、受付窓口、物販店等)の5部門で構成する。
庭園は当時の見取り図を踏まえ、復元を図る。設備関係では最先端の展示技術、4K・8K映像技術、そのほか電子展示技術を導入する方針。作品の保全に向けた展示ケース、免震台、落下防止網、監視カメラなども設置する。
管理運営では施設管理部門を指定管理者に委託し、学芸部門を市が直営で行う業務分割方式を検討している。現在の指定管理者は波山先生記念会。
予定では2021年度に建設準備委員会を立ち上げ、22~23年度に基本・実施設計をまとめる。24~26年度に工事を実施する見通しだ。
なお現在は新型コロナウイルスの感染拡大防止のため5月6日まで休館となっている。
【写真=現在の記念館】