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宇都宮市、中央卸売市場、水産仲卸冷蔵施設を移転新築、秋口に工事7件公告、債務負担21億 再整備凍結を

2020/06/23 日本工業経済新聞(栃木版)

 宇都宮市は、中央卸売市場再整備工事(簗瀬町1493)を本格化させる。10月下旬から11月上旬にかけ①水産仲卸業者冷蔵施設移転新築②水産卸売業者冷蔵施設機械設備更新③関連商品売り場A棟解体④水産棟電気設備移設⑤屋外トイレ(3)改築⑥屋外トイレほか2棟解体⑦厚生棟改修-7件の制限付き一般競争入札を相次いで公告する。これら工事には約21億円の債務負担行為を設定。単年度から2カ年間で施工する。2026年度の完成を目指し、総工費約50億円を投入する。

 主要な大型工事は水産仲卸業者冷蔵施設移転新築が11億561万円。水産卸売業者冷蔵施設機械設備更新が8億4150万円。関連商品売り場A棟解体が8947万4000円。水産棟電気設備移設が4840万円。これらは20~21年度の2カ年継続工事。

 水産仲卸業者冷蔵施設新築実施設計はAIS総合設計(宇都宮市)が担当する。建物はS造平屋建て延べ1250平方m。水産卸売業者冷蔵施設機械設備更新実施設計は、ネオ設計(同)が手掛けている。既存建物は残し、内部の冷凍冷蔵用冷凍機一式を改修する。

 敷地北側の関連商品売り場はRC造平屋建てA~Cの3棟が建ち、延べ8600平方m。全体では118区画(1区画当たりの店舗面積40平方m)があり、かつては小売業者が軒を連ねていた。近年は空き区画が目立ち、B~C棟への小売業者集約を終えた。

 空き店舗となったA棟は解体し、にぎわいの象徴的存在だった遺構は消滅する。築48年の建物は外壁にアスベストが使用されているだけに、解体期間は2カ年を要す。アスベスト含有調査は19年度、環境公害分析センター(同)に委託した。

 水産棟電気設備は、仲卸業者冷蔵施設移転新築や卸冷蔵庫B棟の改修に伴う工事。屋外トイレ(3)改築はRC造平屋建て延べ40平方m。2カ年で施工する。屋外トイレほか2棟解体は小規模とあって、3カ月間で施工する。トイレ改築関連工事は2552万円。

 平成通り(主要地方道宇都宮真岡線)沿いの正門近くに立地する厚生棟(清算事務所)は、RC造2階建て延べ696平方m。築40年が経過し、老朽化した床面50平方mを改修。既存のパーテーションを撤去し、新設する。単年度で施工する。

 併せて平成通り沿い東側エリア3・3haに創設を計画している「にぎわいエリア」の在り方を検討。関連エリア利活用調査は19年度、パシフィックコンサルタンツ(東京都千代田区)に委託。立地条件、導入機能の可能性を調査し、市場活性化の手段を探っている。

 市場では15年4月から、関連商品売り場棟を一般消費者に開放。毎月第2土曜日の午前9時から正午まで「うんめーべ朝市」と称し、様々な商品を卸売り価格で販売。生鮮食料品の消費拡大や子どもたちへの食育推進に努め、市場の役割を市民に発進している。

 にぎわいエリアは市場開放の一層の促進に向け、民間事業者への定期借地権付き土地賃借を想定。民間事業者の豊富な経験と実績、発想力を生かし、市場の活性化につなげる。建物群の再整備工事と並行しつつ実施方針や要求水準をまとめ、公募要件を固める。

 21年度は敷地東側の組合事務所(RC造2階建て延べ440平方m)を解体撤去、青果仲卸荷さばき所を新設、構内道路の付け替え再整備を予定。22年度はにぎわいエリアの民間事業者公募のほか、受変電設備棟や警備員詰所の改築を予定。

 23年度はにぎわい施設に生まれ変わる商業施設エリア大小建物群と管理事務所の解体撤去を計画している。24年度は駐車場を再整備し、北関東唯一の中央卸売市場の地理的優位性を確立。時代が求める社会経済状況の変化に柔軟に対応する。

 市中央卸売市場は1975年6月に開場し、総面積15haに及ぶ広大な敷地を有す。2018年度に施設等整備基本計画を策定し、目標年次を21年度に据えていた。緊急性の高い水産棟と青果棟の耐震化を最優先し、18年度から耐震補強工事に着手した。

 そんな中で卸売市場法の改正が決まり、市は法改正の推移を見極める必要があると判断。市は改正内容の情報収集とともに、市場関係者との連絡調整に時間を割いた。最大の懸念材料は市場そのものの存続の危機であり、その他の工事の一時凍結を余儀なくされた。

 今月21日に施行された改正卸売市場法では食品流通の核に卸売市場の堅持が明示され、主に取引ルールの規制緩和が打ち出された。工事の凍結期間中は法改正の動向をにらみつつ、建物の規模や配置について設計内容を大幅に見直す期間に充てていた。

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