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【インフラ分野のDX】データとデジタル技術活用で変革

2020/07/30 本社配信

 国土交通省は、新型コロナウイルス感染症を契機とした非接触・リモート型の働き方への転換や安全性向上などを図るため、データとデジタル技術を活用したインフラ分野のDX(デジタル・トランスフォーメーション)を進める。29日に「国土交通省インフラ分野のDX推進本部」の初会合を開催し、省内横断的な施策の検討に入った。年度末に取りまとめを行う。

 DXの概念は、進化したデジタル技術を浸透させることで人々の生活をより良いものへと変革すること。社会経済状況の激しい変化に対応するため、インフラ分野でもデータやデジタル技術を活用し、国民のニーズをもとにした社会資本や公共サービスを変革するとともに、業務そのもの、組織、プロセス、建設業や国交省の文化・風土、働き方を変革してインフラへの国民理解を促進するほか、安全・安心で豊かな生活の実現につなげる。

 本部長の山田邦博技監は、各分野・施策でデジタル化が取り入れられる中で「もう一度ここでデジタル化を全省的に考え、横断的に取り組んでいきたい。国土交通省が所管する分野の文化や風土を変えていく観点で取り組んでほしい」と要請した。

 国交省では▽「行動のDX」▽「知識・経験」のDX▽「モノ」のDX―を中心に施策を検討する。「行動」のDXでは、新型コロナが蔓延する状況下でも「3密」を避けて現場の機能を確保するため、映像データを活用した監督検査など対面主義にとらわれない建設現場の新たな働き方を推進。どこでも可能な現場確認を目指す。

 「知識・経験」のDXでは、施工の段取りやインフラ点検における熟練技能者の判断結果を教師データとし、民間に提供することで民間のAI開発を促進して、建設施工やインフラメンテナンスの現場を変革。誰でもすぐに現場で活躍できるようにする。

 「モノ」のDXでは、BIM/CIMの導入による建設生産プロセスの変革を図る。複数の図面から推察していた内部構造や組立形状が一目で分かるようになるほか、数量や工事費の自動化が可能になることで受発注者双方の働き方を変える。国交省では2023年度までに小規模なものを除く全ての公共工事においてBIM/CIMを原則適用する見通しだ。

 今後、現場や研究所と連携した推進体制を構築し、DX推進のための環境整備や実験フィールド整備などを行い、3次元データ等を活用した新技術の開発や導入促進と人材育成を実施していく。

 初会合では、インフラ分野のDXに向けて関係部局や機関が進める取り組み状況を共有した。


【写真=国交省横断でDX施策の検討に着手した】

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