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文部科学省,千葉県千葉市

インフラ長寿命等を/熊谷千葉市長らが代表し/藤原誠事務次官に提案要請/指定都市

2020/08/06 日刊建設タイムズ

 熊谷俊人千葉市長と岩井雅夫同市議会議長は4日、指定都市を代表して中央合同庁舎第7号館11階事務次官室に赴き、文部科学省の藤原誠事務次官に対し『2021年度国の施策および予算に関する提案』を要請した。新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止と社会経済活動維持の両立に向けた対応に加え、インフラ施設の長寿命化対策、下水道事業における国土強靭化等のための財源の確保、義務教育施設等の整備促進、『GIGAスクール構想』の実現に向けた制度の充実などについて要請した。

 提案先は、内閣官房、内閣府、総務省、財務省、文部科学省、厚生労働省、経済産業省、国土交通省。国から地方への税源および権限の一体的な移譲による真の分権型社会の実現に向け、21年度の国家予算編成にあたり特に重要な事項を提起するもので、政府等において適切な措置を講じるよう強く求めた。

 感染拡大防止と社会経済活動維持の両立に向けた対応については▽感染防止策と医療体制の整備▽雇用の維持と経済活性化▽教育機会の確保▽デジタル化・スマート化の推進▽地方自治体への財政支援の充実▽感染症対策のあり方の検討――を要望した。

 インフラ施設の長寿命化対策に関しては、国民の生命と暮らしを守るためにインフラ施設の計画的な維持管理・更新などが不可欠であるとして、ライフサイクルコストの縮減を目指す予防保全型の修繕などへの重点的な支援等を求めた。加えて、新技術等によるコスト低減手法の開発や包括的な民間委託といった新たな事業手法導入の情報提供などが必要とした。

 下水道事業における国土強靭化等のための財源の確保においては、浸水対策・地震対策など国土強靭化のための事業費について、住民の安全で安心な暮らしを実現するために財源を確保するとともに、改築需要の増大が見込まれる中で下水道が担う公共的役割を将来にわたり果たしていくため、必要な財源の確保と適切な負担を行うよう促した。

 義務教育施設等の整備促進では、老朽化対策や防災・減災機能の強化など計画的な整備推進のために必要な事業量に見合う財政措置とともに、事業採択時期の早期化を図るよう要請。さらに、補助単価の引き上げなどの制度充実や、空調設備設置事業のために必要な財源の継続的な確保を要望した。

 『GIGAスクール構想』の実現に向けた制度の充実については「1人1台端末整備」に対する国庫補助にあたり、初期整備に限定せず継続的な制度の充実を図ることや、無線LANアクセスポイント・電源キャビネットの単体整備・学校施設外のネットワーク環境に係る整備も補助対象とすることなどを求めた。

 そのほかの提案は▽真の分権型社会の実現のための国・地方間の税源配分の是正▽大都市税源の拡充強化▽国庫補助負担金の改革▽地方固有の財源である地方交付税の必要額の確保と臨時財政対策債の廃止▽多様な大都市制度の早期実現▽子ども・子育て支援の充実▽子育て家庭等の経済的負担の軽減措置や子どもの貧困対策▽医療保険制度の抜本的改革および国民健康保険財政の確立▽介護保険制度の円滑な実施▽学校における働き方改革の推進▽生活保護のさらなる適正化および生活困窮者支援に対する財政措置――だった。

(左から)提案書を掲げる藤原誠事務次官と熊谷市長、岩井市議長

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