矢板市は17日、第11回新庁舎整備検討委員会(委員長・佐藤栄治宇都宮大教授)を開催。委員会は19日に森島武芳市長に提出する答申書の内容を承認した。答申書は庁舎規模を延べ床面積約6900平方m、敷地規模を1万7507~1万8273平方m程度と想定。基本計画で現市役所と子ども未来館他の2カ所から候補地を選定することや施設の複合化検討を求めた。答申後に市は2025年度中頃の基本構想策定を目指し案の作成に移行。早ければ25年度にも基本計画策定支援業務の委託者を選定し、基本計画策定に着手する。
委員会は23年10月に第1回を開催。先進地視察を行い新庁舎の想定規模、建設候補地、事業手法や整備方針など基本構想策定に必要な事項を検討。諮問事項は①基本的考え方②規模③位置④時期⑤その他必要な事項。答申書と併せて基本的な考え方をまとめ、施設計画や事業計画に言及している。
庁舎整備の基本方針は①市民にやさしい②変化に対応③安全安心④環境にやさしい⑤交流の拠点⑥市の歴史や自然、景観に調和⑦市民に親しまれる議会に対応。答申ではユニバーサルデザインの徹底、効率的で利便性が高く、新たなランドマークとなることなどを求めた。
庁舎の規模は3~4階建てを想定。6900平方mの延べ面積の場合は建築面積1725~2300平方m。必要駐車場面積1万1405平方m。緑地と広場は4377~4568平方mと試算。答申では基本計画以降も必要な機能を精査することが望ましいとした。
候補地はまちづくりの方向性や中心性、利便性、安全性、経済性などを考慮して5カ所を比較して選定。現市役所、子ども未来館他は評価点が高かった。
2カ所について5パターンの配置方針案を参考資料として添付。敷地の広さや周囲の状況から現市役所は日影規制の影響が少なく配置自由度が高く、子ども未来館は日影規制により配置自由度が低いとしている。
複合化は可能性がある候補施設に矢板公民館、市立図書館、子ども未来館を挙げており、引き続き検討することを期待。今後の物価高騰を考慮し経費節減に十分配慮するよう求めた。
事業手法は設計施工分離の従来方式、PFI、DB、ECI、リース方式の5つを提示。整備費やスケジュールに加え、財政負担の平準化も念頭に比較検討。複合化する公共施設の有無も踏まえて基本計画で選択するとした。
事業工程は従来方式とPFIの2つの手法のイメージを提示。従来方式の場合、現市役所は1~2年目に基本・実施設計。3~6年目に工事発注手続き、仮設庁舎建設(6カ月)、既存庁舎解体(6カ月)、新庁舎建設(24カ月)、仮設庁舎解体(6カ月)。7年目に駐車場など未整備外構工事(6カ月)を実施。7年目に開庁する。
子ども未来館他は仮設庁舎建設がなく現市役所より半年ほど開庁が早い。
PFIは基本・実施設計の前にサウンディング・民間活力導入可能性調査(12カ月)、事業者選定(18カ月)があり、開庁は現市役所が9年目、子ども未来館が8年目になる見通しを示した。基本計画で事業手法を精査する。
市は25年度当初予算案に庁舎整備基本計画策定支援業務の債務負担行為を設定。限度額は1437万7000円。期間は26~27年度。
委員会はとちぎ建設技術センター、市議会、区長会、社会福祉協議会、商工会、PTA連絡協議会、女性団体連絡協議会らの代表者、2人の公募を含む委員13人で構成。基本構想策定支援業務はAIS総合設計。