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新潟県農林水産部

生産・利用拡大へ議論/森林・林業の基本戦略検討会

2025/03/20 新潟建設新聞

 県農林水産部は18日、県庁で森林・林業基本戦略推進検討会を開き、2024年度の成果を確認し課題を協議するとともに、25年度の取り組みの方向を説明した。県産材製品の利用促進について、24年度は住宅分野で県産材を使用した住宅の建築やリフォームを201棟に対して支援。新設住宅着工戸数が減少する中、積極的な事業周知により新たに12社の工務店が事業を活用するなど、県産材利用の裾野が広がったことが分かった。また民間建築物における県産材利用の支援に関しては、飲食店をはじめとする商業施設、子育て・教育施設など5件が対象となった。異業種からの参入では建設業より5社、起業参入で2者が24年度に県林業へ参入している。

 一方で森林資源の利用拡大に向け、素材生産量は主伐への転換や異業種の新規参入により前年度比0・9万立方増加したものの、製材用材の需要減少もあって目標は未達成となっている。課題として付加価値の高い建築用の県産材需要を安定的に確保する必要があり、さらなる増産には小規模・分散化した施業からの脱却が前提になるとした。

 委員からは「中小工務店では輸入材が高騰する中でも県産材は価格の面で使いにくい。県の補助金も使いづらい制度になっている」「事業地集約化の基礎となる森林境界の明確化が問題。航空レーザ計測のデータ活用が有効なアイテムになる」といった意見が出たほか、建設業者との連携に課題や改善点があるとする声もあった。

 県農林水産部では、素材生産の改革として25年度は新規で森林組合の合併などに向けたシミュレーションを実施するほか、ICT活用による主伐・再造林地の集約化経費の支援、異業種等連携による木材供給拡大事業などに取り組む。利用の改革では新規で県産材の輸出拡大に加え、引き続き住宅建築への県産材利用支援、集成材工場整備の支援を進める方針だ。

 22年度から28年度までの7年間を対象とする現行基本戦略では、素材生産量を35万立方とするため年増産量を年間1万立方から2万立方に引き上げる目標を掲げている。

【写真=取り組み成果と課題について意見を交わした】

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