沼田土木事務所への勤務は2003年以来22年ぶりとなる。管内の印象を聞くと「雄大な自然の中、県内の約28%を占める広い面積を管轄し、地域住民はもとより、観光客が安心して訪れていただくためにも、道路整備や防災減災関連事業を中心に事業に取り組んでいきたい」と意気込む。また、「県内屈指の豪雪地を抱え、除雪対応なども住民の暮らしを守るために重要なことと思っている」と話した。
25年度については、「老朽化した戸鹿野橋や赤城根橋の架け替え事業や、砂防事業などの防災減災関連工事を確実に進めたい」と力強く語る。
また、若手職員へは「私たちのころとは違い、今の若手職員は本当に優秀な人が多い」と所感を述べる一方、「多様な住民ニーズに対応していくには、持っている知識に加え、経験を重ね、問題の解決能力を身に着けていくことが重要かと思う」とアドバイス。「失敗を恐れず、また、失敗したら同じミスをしないという心構えを持ち、職務に励んでほ しい」と熱いエールを送る。
住まいは吾妻郡で、昨年度まで携わっていた上信自動車道の建設は印象深いものがあったという。「事務所が開設されたときから、工事担当として携わりたいと思っていた」とのことではあったが、所長として2年間の勤務となった。「上信自動車道は、吾妻郡在住の住民としては悲願」と話し、早期完成に向け、職員一丸となって取り組んだ。「在任中に吾妻西バイパスが完成し、多くの関係者により開通式が開催できたことが印象深く記憶に残っている」と当時を回顧する。
また、途中で中止となった幻の倉渕ダム事業や、中越地震と東日本大震災で現地に派遣された経験があり「災害の悲惨さや自然の猛威を実感したことで、災害に対する迅速な対応力の必要性を痛感した」と教えてくれた。その経験により、「14年の大雪や19年の台風19号の他の職場への応援などに生かすことができたのではないか」と振り返った。
建設業界に対しては「県土整備プランに基づく施策の推進、災害時や除雪など地域の安心安全を守る担い手として建設業者の皆さまには、さまざまな場面で協力をいただき感謝をしている」と語る。また、「災害対応組織力を維持していくためにも、多くの若者に建設業に従事していただきたくICTの活用状況や週休2日制などの働き方改革への取り組みをPRし、安定した事業量の確保も必要と考えている」と加えた。
休日は、長年続けている少年野球の監督や部活の地域移行に向けた中学野球のクラブチームの運営に汗を流す。教え子が県庁職員となることもあり、うれしさを感じることも多い。野球の合間には、米づくりに野菜づくり、渓流釣りや旅行と多趣味。「充実した日々を過ごせるように、健康に注意していきたい」と笑顔で話した。