県西部農業事務所農村整備課(綾部賢二課長)は2025年度の県営事業概要を示した。予算額は8事業12地区で、24年度補正も含めて10億6269万8000円となった。事業費が最大なのは大谷・牛秣地区(藤岡市)で進めている堤体補強工事で、24年度補正分を含めて事業費3億5840万円を確保し、大谷池および牛秣貯水池の堤体補強工を実施する。このほか、吉田地区や天水ため池で工事を進めていく。
大谷・牛秣地区では大谷池(三名湖)および牛秣貯水池(鮎川湖)で耐震補強工を予定する。
藤岡市三本木地内の大谷池は堤長218m、堤高19・7m、総貯水量142万6000t。1933年に築造された。牛秣貯水池は堤長253・5m、堤高27・8m、総貯水量90万t、55年の築造。
吉田地区のほ場整備は2024年度補正を含み、事業費2億4550万円により事業を推進する。12・9haでの区画整理工を予定しており、道路工や排水路工などを内容に工事を進める。同地区の農地整備事業は22年度に着手し、29年度の完了を目指し進める。国の事業採択は22年度に受けている。初弾工は24年度に発注し、1工区1工事を広木工業(富岡市)、1工区2工事を岩井建設(富岡市)が手掛けている。
このほかの主要事業は次の通り。
【農村地域防災減災事業(地震対策ため池防災工事)天水ため池地区】
25年度から工事着手となり、ため池堤体、取水施設、洪水吐の改修をメインに計画している。鏑川左岸側にある上信電鉄西山名駅の北西方向約200mに位置している。平坦地と丘陵地の境にあり、受益面積は12・4ha。ため池の規模は堤長116m、堤高4m、堤幅4・5m、総貯水量は約5200立方mとなっている。洪水吐は1000㎜×1000㎜のボックスカルバートが11・7m布設されている。実施設計は冨永調査事務所(高崎市)が手掛けた。25年度事業費には24年度補正と併せて5000万円を充てており、工事を予定している。
豪雨や地震などにより、ため池が決壊した場合には、受益農地への用水供給が滞るだけでなく、人家や公共施設への浸水被害が想定されることから、堤体の耐震補強や洪水吐の断面拡大などの対策を講じる。管理者については南八幡堰土地改良区となっている。
【水利施設等保全高度化事業(畑地帯担い手育成型)保美地区】
25年度は9haで整地工や支線排水路工を内容に、区画整理工を計画している。牛田工業団地南側に位置し、主要地方道前橋長瀞線を挟んで東西に広がる37・9ha区域を対象として事業を進めている。25年度事業費は24年度補正と併せて3億344万円により事業を進める。
【農村地域防災減災事業(地すべり対策事業)河振地区】
甘楽町秋畑(河振)地内で地すべり対策工事を実施する。地すべり観測のほか、明暗渠工を延長約0・1㎞の工事などを予定する。事業費は24年度補正を含めて2800万円としている。
【(農山)水利施設等整備事業(基幹水利施設保全型)神流川用水地区】
藤岡市本郷地内で神流川用水幹線水路(牛田用水路)の目地欠損箇所などの補修工事を進めており、延長約0・15㎞で工事を行う。25年度は事業費1916万円を確保している。