6月1日投開票の松戸市長選挙で4万6295票を獲得し、初当選を果たした松戸隆政氏が、日刊建設タイムズの単独インタビューに応じた。市役所の建て替えについては「移転ありき」で進められてきたことから、一旦、白紙撤回すると表明。庁舎新館と本館は耐震性に問題があり、早急に対応する必要があることから、仮庁舎の設置も含め、9月までに一定の方向性を示す。新クリーンセンターについては、2034年度の稼働に向け、年内に施設規模と概算事業費を提示する考えだ。
――初当選に当たっての抱負・展望は。
松戸 公約に掲げた通り、まずは市役所の建て替えと総合医療センターの経営再建が喫緊の課題。9月までに市民、議会、メディアに向けて一定の方向性を示すため、最優先として進めている。その後は、クリーンセンターの建て替え、老朽化が進んでいる学校の施設整備、独立行政法人都市再生機構(UR都市機構)の常盤平団地の再生などの大型事業が控えているので、優先順位にメリハリをつけて取り組む。
――松戸市への思いは。
松戸 松戸市で生まれ、松戸市で育った人間として、地元に恩返しをしたいという思いで県議会議員を4期14年にわたって務めてきた。本郷谷前市長が急きょ健康上の不安から退職することになったため、県政で培った人脈とノウハウを生かし、さらなる恩返しができればと考え、市長選に立候補した。県議会議員として活動する中で、いろいろな方から「松戸市は元気がなくなってきている」との声があった。しかし松戸市は東京都にも近く、自然の豊かさ、歴史・伝統などの魅力もある。50万人都市であることから、人材も非常に豊か。それぞれのポテンシャルを合わせることで、松戸市を元気にし、誇れるまちにしたい。
新館と本館は早急に対応を
――新庁舎の移転・建て替えに関しては。
松戸 選挙の中で、建設資材の高騰や労務費の上昇、新拠点ゾーンへの建設による渋滞などのリスク、土砂災害警戒区域の近接性などから、庁舎移転に反対もしくは不安視する声を多くいただいた。移転・建て替えありきで進められてきたことを踏まえ、一旦、白紙撤回することを表明した。現庁舎新館と本館は耐震性の問題があることから早急に対応する必要がある。現段階では、仮庁舎の設置も含めて検討を進め、9月には方向性を示したい。新拠点ゾーンについては、旧松戸法務総合庁舎の解体を完了させ、さら地として維持管理を行いながら活用方針を検討する。
――図書館の再整備については。
松戸 図書館は老朽化が進んでいることから、再整備を行う。ただ本を集めるだけではなく、市民が集まりさまざまな活動ができる、時代に合わせた施設とすることを考えている。新庁舎の第2ステップ整備イメージでは、新拠点ゾーン北側に図書館・ホール・美術ギャラリーを備えた文化複合施設を整備する方針が示されている。文化複合施設とする考えについては賛成だが、整備する場所については改めて検討したい。
――新クリーンセンターに関しては。
松戸 34年度の稼働に向け、年内には施設規模と概算事業費を提示したい。和名ケ谷クリーンセンターの稼働期間を延伸し、新クリーンセンターに引き継ぐことで、市内クリーンセンターの空白期間がないように対応する。
――プロスポーツチームの誘致と周辺インフラ整備については。
松戸 スポーツによって必要な施設は変わるため、どのスポーツであれば実現性が高いか考えていきたい。行政パートナー協定を締結している市川市も同様の検討を進めていることから、両市で連携してプロスポーツの誘致とインフラ設備を整備できないかも検討したい。
――北千葉道路については。
松戸 ようやく国による用地買収などが動き始めた。市川市との市境を通過することから、互いに連携し、新たな産業の集積地を生み出したい。また、高塚十字路の近くを通ることから、東松戸駅のポテンシャルの高さを生かした開発を進めたい。
――地域建設業に対しての思いは。
松戸 県議会議員時代には県土整備常任委員を10年近く務めていたこともあり、地域建設業の重要性は身に染みている。災害が起こったとき、真っ先に現場に駆け付けるのは地元の建設業の方々。小根本の交差点で水道管の破裂があった際も一所懸命に対応していただいた。地域建設業の皆さまなくしては、災害対策もまちづくりも進まない。これからも市と共に発展していければと考えている。
――趣味について。
松戸 キックボクシングをやっており、20代半ば頃にはプロライセンスを取得した。今でも格闘技が好きでよく観戦している。先日は「ふるさと応援大使」の那須川天心さんに訪問いただき、松戸市を盛り上げたいという思いをうかがったところ。
【略歴】
まつど・たかまさ
1978年11月7日、松戸市生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業、東京大学大学院修了。2003年4月、大和証券SMBC㈱入社。09年8月から衆議院議員公設第一秘書を務めた。11年に千葉県議会議員に初当選し、4期14年を経て、25年6月1日執行の市長選挙で初当選を果たし、第25代市長となった。
※松戸隆政の「隆」は旧字(右下の生の字の上に一が入る)