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(一財)建設業振興基金

【インタビュー】谷脇 暁 理事長に聞く/建設業振興基金50周年

2025/07/16 本社配信

◎一歩踏み出す建設業を後押し

 建設業振興基金が7月16日で50周年を迎えた。1975年の設立以来、金融支援や検定実施、担い手確保・育成事業、建設キャリアアップシステム(CCUS)運営など、建設産業の発展に大きく寄与してきた同基金。今後の展望について、谷脇暁理事長に聞いた。

 ―基金設立の精神は

 谷脇理事長 高度成長から低成長の変わり目に第一次石油ショックが起きて物価が高騰し、金融引き締めとなった。中小建設会社の資金繰りが逼迫する可能性があり、業界団体と建設省が音頭をとって金融支援団体を作ることとなった。団体から15億円、3保証会社から15億円、国から20億円で合計50億円の基金が発足した。最初は金融支援だったが、その後に多くの課題が出てきて経営支援や資格付与、人材育成の仕事を実施してきた。


 ―これまで果たしてきた役割と成果は

 谷脇理事長 一つは全国の都道府県建設業協会や専門工事業団体の活動支援、もう一つは国の建設産業政策の実行部隊を担ってきた。個別事業は、基金と運用益で実施する債務保証や金融支援、技術検定や経理士の試験など資格の仕事、国の政策実現の受託事業、CCUSの4つに分類できる。これらを通じて幅広いネットワークや信頼関係を作り上げてこられたことが成果だと思う。


 ―これから果たすべき役割は

 谷脇理事長 基本は変わらない。関係機関と一緒になって建設業界の課題を見つけ、対応する。業界や行政から「基金にやってもらおう」「基金がやっているから応援しよう」と言ってもらえるような仕事をする。今までの仕事をさらに深め、広げていく。


 ―今後、力を入れる事業は

 谷脇理事長 一つ目は人材確保・育成。広報活動として教材アニメを作り、中学生や小学生にアピールする。さらに外国人材も多くなるため、より効率的で効果的な教育訓練を考える。二つ目はバックオフィスのDX推進など建設現場の生産性。『CI―NET』を活用してもらうための工夫を行う。三つ目はCCUS。本格的な利用拡大に向け、技能者の処遇改善や生産性向上につながるよう、国と連携して役割を果たす。外国人技能者にもCCUSはうまく使ってもらえると思う。就労履歴の蓄積ができる環境整備をすることが必要。四つ目は金融事業。地域連携で維持管理事業を共同で受ける形が広がってきている。そういうところでニーズが出てくるのではないか。


 ―建設業界へのメッセージを

 谷脇理事長 地域の建設産業は、社会をより豊かにすることができる。インフラ維持管理や災害対応で社会のためになっているが、さらにプラスして地域をより良くすることができる。実際に地域の中核としてやっている会社もある。こうした活動が広がれば、建設業界に対する外からの評価も上がり、人材が集まる流れにもなる。建設業は永久不滅。地域の建設会社が一歩を踏み出す、その後押しをしたい。

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