「大臣官房はサッカーで言うとミッドフィルダー。予算や法律、税制などの具体的な球をゴールに運び込む、それをアシストする役割。各局が強みを発揮できるようサポートしていく」と抱負を語る。また「省庁再編25周年でもあり、旧省庁の壁を排して組織の多様性を活かせるようリードしていきたい」と話す。
今後の予算編成では「安全安心の確保、経済成長の実現、東京一極集中から分散型国土づくりを重視する。労務費確保の必要性や資材価格高騰の影響も考慮して予算確保を進めたい」。
国土強靱化実施中期計画に関する予算要求については「八潮市の事故で、国民が身近な課題だと認識した。『鉄は熱いうちに打て』。特に老朽化対策をしっかりやっていくため、必要な予算を要求する」。
大臣官房長は中央公契連会長の立場。各発注者に対しては「ダンピング対策については低入札価格調査基準や最低制限価格の適切な運用をお願いしている。適正な予定価格、工期設定、週休2日の実施などの取り組みも要請していきたい」と述べる。
国交省における若手の人材確保も大きな課題。「公務員の人気は全体的に低下傾向のため、市場動向や学生のニーズを踏まえた対応を行う。民間や自治体の経験者も即戦力として期待している」。さらに「職員の給料も、ある程度の企業レベルの給与水準に合わせる」と話す。
大臣官房の業務には広報活動もある。「世の中のスタンダードはどこにあるのか、どんな情報を求めているのか、取材を受けて知ることができる。取材は記者と1対1でも、その後ろには多くの読者がいることを絶えず意識するよう心がけている。どう報道されるかによって国民の見方が大きく変わる。正しく国民や業界に理解してもらうことが大事」。
今回のインタビュー取材には、タブレットを持参した。「ペーパーレスにしたり、緑を置いたり。そういう工夫をしないと新しい発想が生まれない」と話す。
趣味は落語。「同じネタでも人によって味が違う。仕事も同様で人によって方法が違う」。その『違い』に面白さを感じている。
【略歴】くろだ・まさよし 1991年4月、建設省採用。大臣官房審議官(住宅局担当)、国土政策局長などを経て、7月1日から現職。一橋大経済学部卒。59歳。愛知県出身。