「久しぶりにホームグラウンドの局に戻った。特に防災や危機管理をしっかりやっていきたい。流域治水や環境、利水も勉強しながら進めていく」と抱負を語る。
施策においては『事前防災』の必要性を強く語る。「災害が起きてから復旧する、いわばマイナスをゼロに戻すために労力をかけることは無駄。あらかじめ投資して、将来の大きなロスを防ぐべき。しっかりと防災のための投資をしておくことが、将来の財政負担を軽減することになる」。問題は費用となるが「例えば国債を発行する。今の時代の人たちがキャッシュで払う必要はない。将来の人たちがずっと利益を享受するので、作る決断は今するが、支払いはみんなで分担する」と述べる。
流域治水については「どんな施設や政策で外力変化に対応するのか目標を作り、皆で同じ方向で頑張る」。その際には「地域のメリハリをつけた守り方、優先順位の付け方などを見直して、従来とは違う進め方を模索していきたい」と話す。
利水・治水は「新しい技術を使うことで、今までできなかったことができるようになっている。一つの施設をより賢く使う。複合的・多目的に使うことで、より細やかな運用ができるようになる」と考える。
施工現場のDXや省人化にも注視。「施工だけではなく計画や管理も含めてトータルでDXに取り組んでいきたい」。
インフラ施設の老朽化対策は「水門、ポンプ場、機械設備が老朽化すれば更新していかなければいけない。埼玉県八潮市の事故で得られる知見を、展開できるものについて取り組んでいきたい」。河川分野のマネジメントについては「都道府県との連携にしっかり取り組む。新しい技術を取り入れながら問題が生じないようにしていく」。
建設業については「地域の守り手として重要な役割。いざという時に頑張れる体力を持っていることが大事。金額や週休2日など担い手を確保しやすい環境整備に向け、発注者と受注者で健全な状態を作り上げていくべき」と考える。
休日には神社めぐり。「災害がないように」と『神頼み』している。
【略歴】はやし・まさみち 1991年4月、建設省採用。国土交通省中部地方整備局企画部長、水管理・国土保全局治水課長、中国地方整備局長などを経て、7月1日から現職。東大工学部卒。57歳。東京都出身。