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国土交通省霞ケ浦導水工事事務所

事業費230億円が増加/資材高等、現場条件変更で

2025/08/01 日本工業経済新聞(茨城版)

 霞ヶ浦導水事業の全体事業費が約230億円増加することが分かった。資材価格高騰などの社会的要因や現場条件の変更、今後の変動要因への対応によるもの。これまでの約2395億円から増額し、約2625億円が見込まれる。全体工期は2030年度までで、変更はないが26年度までの完了を見込んでいた取水施設、管理施設は1~2年程度延長される見通し。7月28日の整備計画フォローアップ委員会で、事業の再評価が行われ、継続が了承された。

 同事業は、総延長約45㎞の地下を導水路で結び、水のネットワークを構成して水質汚濁や渇水などの課題解決を図るもの。過年度までに石岡トンネルの第1、第2および第6工区のほか、那珂川と桜川を結ぶ水戸トンネル、霞ケ浦と利根川をつなぐ利根導水路の整備などが完了。現在、那珂導水路、高浜機場で工事を推進している。

 25年3月末時点の進捗状況では、那珂導水路、利根導水路ともに、用地は取得済み。導水路立坑12基のうち11基が完了し、進捗率は92%。那珂導水路(約43㎞)については、水戸トンネル(約6・8㎞)が完了、石岡トンネル(約24・7㎞)が施工中を含み全て着手済み。3~5工区で工事が進められており、26年度の完成を予定。残る土浦トンネル(約11・6㎞)が未整備となっている。

 利根導水路(2・6㎞)は、霞ヶ浦開発事業との共同施設で一部を運用中。

 機場4カ所については、利根機場、桜機場、那珂機場が整備済み。現在、高浜機場の工事が進められている。

 事業費増額要因の内訳は、労務単価や資材単価など物価が上昇により約146億円の増加。特に生コンクリートや鋼板等の価格の急騰が影響した。加えて一般管理費等率、現場管理費率の改定で約23億円増加となる。

 また、掘削発生土の一部で環境基準値を超える自然由来の重金属が確認され、今後の掘削発生土においても産業廃棄物として専用の処理施設への運搬・処理が想定されることから約23億円の増加。そのほか、今後の事業費の変動要因への対応として約37億円増を見込む。

 また、事業実施にあたっては、設計の見直しや工程調整などコスト縮減を実施しており、約38億円の事業費を縮減している。

 今後の残事業費として約405億6000万円を投じる計画で、このうち取水施設費に108億6800万円、導水施設費に186億3100万円を充てる。

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