国土交通省が設置した自動物流道路に関する有識者会議が、最終とりまとめ案を議論した。対象区間は東京―大阪間を基本とし、関東・東関東に拡大することも検討。実証実験で必要な技術の検証を進める。インフラ整備期間を考慮して2030年代半ばの実装を目指している。
物流部門におけるトラックドライバー不足という危機、CO2排出量削減という課題、自然災害の激甚化・頻発化などの状況の中、同会議では新しい物流形態を模索。専用空間を構築して無人化・自動化による輸送手法を検討している。
最終とりまとめ案では、自動物流道路の対象区間を東京―大阪間を基本とし、関東・東関東や兵庫への拡大も検討。複数の拠点で自動積み込み・荷卸しできるようにする。必要となる技術開発については実証実験で検証を速やかに実施。官民のロードマップを策定することの有効性も示している。
自動物流道路本線の整備は制約の多い地上よりも地下を有利とするが、工事費高額や掘削残土処理という課題を提示。またメンテナンスにおける省人化・自動化の必要性を掲げる。拠点については自治体と積極的に連携して社会実験を行うこととした。
なお24年10月~11月に行った市場調査では、46社から意見が提出された。建設におけるリスクとしては▽コストが多額▽コストの不確実性▽資金調達リスク(事業性への懸念で資金が借りられないなど)―などの意見があった。維持におけるリスクとしては▽自動物流道路の老朽化▽大規模修繕の資金調達▽災害による損害―などの懸念があった。
実証実験は27年度までに新東名高速道路の建設中区間(新秦野~新御殿場)で行うが、これに先立って、国土技術政策総合研究所の試験走路における実験を予定。9月5日まで、実験を行う事業者の申請を受け付けている。
自動物流道路実現に向けて設置された民間事業者で構成するコンソーシアムでも議論が進む。インフラ分野を検討する分科会では、道路設置場所を地上は車道中央部、地下は高速道路および周辺を想定。1車線の幅員は2・0mで3車線を検討している。インフラ分科会では8月に拠点の位置や面積を設定し、9月~10月に本線・拠点の工費・工期を試算するスケジュールを予定している。