2025/03/15
精度の高さもPR材料(東京・JI)

精度の高さもPR材料
▼建設分野の人材不足が続いている。若者が入職しないことが大きな悩みで、これは企業規模に関わらず、そして官民ともに課題。業界を上げてイメージアップを行っているが、まだまだ手探りという状況だ。どうすれば人が増えるのだろうか
▼元マイクロソフト日本法人社長の実業家・成毛眞氏は、著書『情報の捨て方』で、建設業界は「自分たちが周りをうならせる情報を持っていることに気づいていない」と指摘する。例としてトンネル施工を挙げて「何キロ掘っても誤差は数センチ。ものすごい精度」と語る。現場の人は高い技術力が当たり前になっているが、その精度は驚愕(きょうがく)であり「貴重な情報」だという
▼成毛氏は「建設業界に必要なのは何百万人規模のライトなファンより数万人の熱烈なファン」「テレビコマーシャルではなく、深くて濃いウェブコンテンツを用意したり、人数限定の見学ツアーを開催したりしたほうがいい」と述べる。参考になる意見だ
▼これまでの建設業界のPRと言えば、大規模プロジェクトや巨大構造物など壮大なスケールを感じさせることが定番。そして3K改め新4Kによる給与・福利厚生の充実。これらは確かに重要であり、一定の効果はあったに違いない。一方、その技術力を示す精度の高さについては説明が少なかったかもしれない。技術をわかりやすく伝える言葉や手段が必要だ
▼壮大なスケールの構造物を、丁寧な作業で緻密に造り上げる。なぜそんなことができるのか、業界全体の努力の結晶とも言える手法、あるいは企業独自の秘密を若者に伝える。彼らは興味を持ってくれるだろうか。(東京・JI)