2011/01/07
新「常用漢字」(新潟・YY)

新・「常用漢字」
▼昨年になるが29年ぶりに見直された新しい「常用漢字表」が内閣告示された。PCなどの普及で、必ずしも手書きできなくても良いとする文化審議会の答申に基づき、『鬱』など画数が多く、比較的覚えにくいと思われる漢字も新しく追加された。
▼手書きする場合、一般的には難しいとされる『鬱』だが、『憂鬱』のほか、『鬱屈』、『鬱積』、『鬱蒼』、『鬱金』、『鬱陶しい』など、この字が含まれる単語は?と問われれば、比較的容易にいくつか思い浮ぶ。手で書くには難しいが、利用頻度は低くなさそうだ。
▼しかし、新たに196字が追加された一方で、日常生活で利用頻度が低い『勺』『錐』『銑』『脹』、『匁』の5字が削除されることとなった。削除される5字に尺貫法の単位である『勺』『匁』の2字が含まれている。『匁(もんめ)』と言えば、真珠の国際取引で使用されている計量単位。漢字の『匁』ではなく、『momme』と表記するのだが、日本で初めて真珠の養殖に成功したことから、世界的に使われるようになったと聞く。
▼『momme』が世界的な真珠取引で使われている一方、日本では、元となった『匁』が日常生活で使われなくなり常用漢字表からも姿を消すこととなった。日本の真珠養殖における功績を考えると、少し寂しい気もするのだが。
▼正しい筆順で漢字を書くと自然と形が整い、美しくなると教わってきた。昔と比べ、文字を手書きする機会が減ったことで、正しい筆順は忘れ去られ、読むことができても、書く事ができないといった漢字も増えた。不便さから学べることもたくさんあるはずである。(新潟・YY)