2011/03/24
クニマスに沸く(山梨・TH)

クニマスに沸く
▼最近の山梨県の横内知事定例会見でたびたび話題に上るクニマス。昨年末に天皇陛下の会見でクニマスを発見した「さかなクン」を名指しで褒め称えたのが印象に残る。
▼陛下はその会見で「クニマスの卵がそれ以前に山梨県の西湖に移植され、繁殖し今日まで生き延びていたことが確認された」。「クニマス発見に大きく貢献された、京都大学中坊教授の業績に敬意を表する。またクニマス発見に東京海洋大学客員准教授さかなクンをはじめ、多くの人々が関わり協力したことをうれしく思う」と話されていた。
▼クニマスは、秋田県田沢湖にのみ生息した固有種で、1940年頃に絶滅したと考えられていた。このため環境省のレッドリストでは、すでに絶滅と評価された。同魚は、全体的に灰色もしくは黒色で全長は30?から40?程度。生物学的な生態は不明点が多いという。
▼確認されたきっかけは中坊教授が、タレントでイラストレーターのさかなクンに、クニマスのイラスト執筆を依頼したことからすべてが始まる。さかなクンは、イラストの参考のため日本全国から近縁種のヒメマスを取り寄せ、このとき西湖から届いたものの中に、クニマスに似た特徴を持つものを発見した。教授が解剖や遺伝子解析を行い、その結果、西湖の個体はクニマスであることが判明したという。
▼それを受け、秋田と山梨の両県は協力をしながら「クニマス里帰りプロジェクト」を進めている。これまであまり接点がなかった両県が、思わぬところで縁が深まったことは本当にすばらしいことだ。さて、これまで静かに生活していたクニマスは、どう思っているのだろう。(山梨・TH)