2011/07/01
映画館は人間教育の場(茨城・KS)

映画館は人間教育の場
▼?サヨナラおじさん?こと映画解説者の淀川長治さんはかつて言った。「映画とは人間を知ることね。これほど人間について教えてくれるものはないのね」
▼映画黄金期と言われる60年代から70年代の作品を中心とした名画50本を、週替わりで一年にわたり上映する「午前十時の映画祭」が好評である。「朝の10時に観れば、昼、夜と一日に3本も観れる」という映画フリークの造語らしい。この時代にはCGなどもちろんない。ただ緻密に練られたストーリーと魂のこもった迫真の演技がものを言う。当たり前のことだが、昨今の映画がいかにこれらの名画を礎にして築かれているかを思い起こさせられる。改めて劇場で観ると、新しい発見もあり感動が大きい。
▼4人の少年が線路づたいに死体探しの冒険に出る「スタンド・バイ・ミー」。秘密基地を作ったり、未知の場所を進むことに興奮した少年時代を思い出す。近年大ヒットした「24 -TWENTY FOUR-」で正義の捜査官ジャック・バウアーを演じたキーファー・サザーランド氏が、真逆の不良グループのリーダーを演じているのが面白い。
▼また、巨匠スティーブン・スピルバーグ氏のデビュー作「激突!」は、今見ても臨場感あふれるカメラワークが秀逸。ドライバーの顔が見えない大型トレーラーに執拗に追い回されるという純粋な恐怖が終始疾走する。
▼淀川さんは続けて言っている。「映画館は人間勉強の一番の教室である」と。大恐慌に大震災、政情不安…、混沌とした世の中の今こそ、名画から学ぶことは数多いと確信している。きっとそれぞれに心に響くもの、学ぶものがあるはずだ。(茨城・KS)