2022/07/16
謝罪で分かるプロ意識(群馬・TH)

謝罪で分かるプロ意識
▼KDDIの大規模な通信障害が発生した。長い間、携帯電話がつながらない状況が続き、不便な思いをした。スマートフォンへの依存が取り沙汰されるが、実際に使えない状況になると痛感する。スマホに頼り切った生活を見つめ直す良い機会となった
▼事態発生から一夜明け、KDDIは緊急会見を開いた。高橋誠社長は「通信事業者として深く反省している。多大なご迷惑をおかけしたことを深くおわびする」と陳謝。その後、障害の現状や影響、原因を説明した。一般の人にもわかりやすい言葉・表現を選び、端的に伝えたといった印象だった
▼質疑応答では、記者による専門的な質問が飛び交った。素人には、ちんぷんかんぷんだ。これらの質問に対しても高橋社長が直接回答する場面が目立った。専門的・技術的な質問内容に動じることなく答えていたのが非常に印象的だった
▼企業として、謝罪をするような事態に陥らないことが最も望ましい。しかし、人がやっていること故、必ずミスは発生してしまう。SNSの普及により個人の発信力が増した現在、事態収束に向けた「謝り方」は非常に重要になる。大声で泣きわめいたり、ボソボソと話したり、開き直った態度では、状況を悪化させるだけである
▼KDDIの会見は、まさにお手本のようだった。企業のトップ自らが、自社の技術や業務内容を把握しており、今回の事態に対して丁寧に説明していたからだ。高橋社長の発言には信頼感と説得力があり、言葉に誠意が宿っていた。人の本性は緊急時に現れるというが、堂々とした高橋社長の姿に「理想のリーダー像」を見た。(群馬・TH)