2023/01/20
ピラミッドと技術伝承(山梨・TN)

ピラミッドと技術伝承
▼最近、エジプトのピラミッドに関する本を読んだ。エジプトのピラミッドと言えば三大ピラミッドがあり、このうちクフ王の墓とされるピラミッドが一番大きい。その高さは約150mで、一辺が約230m。使っている石の数は約200万個。石の重さは平均で2・5tだそうだ。造られたのは実に4500年以上も前の話である
▼太古に造られたので、従事した労働者は奴隷のような働き方を強いられたと思われていたが、農閑期を使い現代の公共事業のようであり、労働者には1日の作業の後、ビールなどが支給されていたようだ
▼その巨大なピラミッドだが現在の技術で造ってみたらどうなるか、かつて大林組がシミュレーションした。工期は約5年で建設費の総額は1250億円と試算された。重機も使っているが、労働者は約2500人必要と想定している。当然だが現代の技術をもってしても、大仕事には違いない
▼造り方と言えば技術や工法などの伝承は重要。しかし伝承にまつわる書物などは見つかっていない。歴史研究家の井沢元彦氏はピラミッド建造の工法が伝承されなかった謎を、自身の著書「逆説の世界史」で、「ピラミッドを造るほどの文明を持ちながら、詳細をほとんど文字化していない」と記述。現代の常識からすると、極めて異常な事態として捉えているとコメントしている
▼技術が本当に文字として残っていないということであれば、これほどの大仕事を成し遂げた方法は謎のままでないだろうか。建設産業にも当てはまるとは思うが、技術の伝承は大切ということが、大きな歴史の流れからもうかがえる。(山梨・TN)