コラム

2023/07/06

ルビコン川の先へ(新潟・KW)

ルビコン川の先へ

▼人工知能 (AI)が話題だ。これまでも人工知能が注目されることは何度もあったが、OpenAI社による対話型人工知能のChatGPTには特に注目が集まっている。当然、現時点でのAIは完璧ではなく、改良の余地がある。だがその改良、開発のスピードも半端じゃない

▼最新版のバージョン(GPT-4)では、人間の受験生も交えた司法試験の模擬テストで上位10%に入る成績で合格点を出し、医師試験では合格ラインの点数を超え、医療用のAIをも上回る結果をたたき出した。改善点もあるが、医療の専門的訓練をしていないAIが医療用AIを上回ったことは無視できない

▼今年の4月3日、東京大学のポータルサイトに太田邦史副学長の声明文が掲載された。太田副学長はAI研究について、古代ローマ時代のカエサルの故事を引用し「人類はこの数カ月で、すでにルビコン川を渡ってしまったのかもしれない」と言及した。声明文では、AIの進化と社会の変化を傍観するのではなく、考察を深めAIがもたらす社会的変化を先取りし、有益な利用方法や新技術、法制度、社会システムの研究に積極的に取り組むことを呼び掛けている

▼医師試験に合格もできれば、爆発物の作り方から有害プログラムの生成など、悪用される可能性が多分にある。その危険性を完全に洗い出し、有識者や行政を中心にガイドラインを作成することも必須だ

▼現代では一部を除き「AIとは全く無関係」という業種はないと思う。正しく使えば生産性向上や働き方改革の一助となる。「労働」そのもののパラダイムシフトさえ起きかねない。(新潟・KW)

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