2004/04/03
建設業の農業参入問題(本・SY)

2004.04.03 【建設業の農業参入問題】
▼最近、国土交通省や建設業団体を取材していると、農業への参入が話題になる。建設業の新規事業進出というと、福祉介護サービスや環境関連分野などで実績があるが、農業への進出も構造改革特区での規制緩和で注目されるようになった。建築にしても、土木にしても、「土」を基礎として事業を行うという点では農業と共通している
▼農業への参入が本格化したケースを考えてみる。現在、各種の食糧の国内自給率(もっか約40%)がさらに低下し、食糧の輸入で多くの問題が発生している。建設業が生産する農産物により自給率がどんどんアップすると、国民への安全で安定した食糧供給が実現する
▼建設業の雇用問題も解決し、再生に向けて大きなステップを踏み出す、というシナリオを考えたが現実にはそうトントン拍子にはいかない。農地の活用は農地法などによる規制が厳しい
▼株式会社は農業生産法人にならない限り農業経営のための農地を取得できない。農業法人になるには役員の半分以上が農業の常時従事者でなければならない。農地売買や賃貸には地方自治体の農業委員会の許可がいる、など農業への参入には多くの障壁がある。法制度などの規制緩和が先決問題である
▼規制が緩和されて、農業への参入が可能になっても、他業種との参入競争が激烈になることや、従来からの農業従事者の生活基盤を脅かすことも大きな問題である。さらに、農業生産が向上し自給率が向上すれば、海外からの食糧輸入に依存している現在の日本の体制は変更を余儀なくされ、国際的な貿易問題に発展する。いずれにせよ建設業界は四面楚歌の状態だ。(本・SY)