2008/09/04
親に殺意を抱く現代(山梨・TT)

▼大阪大大学院人間科学研究科の調査で、約3割の高校生と大学・専門学校生が親や友人に対して殺意を抱いた経験を持つことが分かった。また殺意を抱いた経験がある若者は倫理観や規範意識が低く、殺人行為に同調しやすい傾向があることも判明した
▼殺意を経験した回答者に親を殺害する行為についてどう思うか聞いたところ「決して異常なことではない」「気持ちは理解できる」とする答えが、殺意の経験がないとする回答を上回っている。「人としてやってはいけない」「家族が悲しむ」などの感情は希薄なことが分かったーと
▼筆者の両親は平凡ではあるが、地域や学校でも有名なくらい躾(しつけ)には厳しかった。友人からは、「よく不良にならなかったね」と言われたものだ。答えは決まっていた「不良になりたかったけれど、両親が恐すぎてなれなかった」
▼確かに、そんな両親に嫌気もさし、家に帰りたくないと思ったことも数知れず。学校帰りが遅くなり家から閉め出され、夕食も食べさせてもらえなかったこと、テストの点数が悪く筆箱で殴られ流血したこともある
▼連日流れる親子殺しのニュースを見ていると、親に殺意を抱かない子供に育ててくれたことに感謝さえしてしまう。治安の良い国、美しい国と言われて来た日本。現実を痛感するにつけ、単に作られたイメージになってしまうと危惧する
▼先日、「上司に注意され、殺してやろうかと思った」と話す30代の男性に会い、単に叱られただけで「殺す」と言う安直な現実に接した。「殺すこと」がどういう意味を持っているのか理解されていない現代社会に背筋が凍る思いである。(山梨・TT)