国土交通省 吉田光市国土交通審議官インタビュー「元気な中小企業を支える」

国土交通省の吉田光市・国土交通審議官が就任インタビューに応じ、「日本の背骨を支えている建設業の皆さんが元気で活躍できるようにしっかり応援していきたい」と抱負を語った。また、「中小企業は建設業に限らず日本の活力の源泉。中小の建設業が地域を支え、日本を支え、企業によっては持ち味を生かしてグローバルに活躍するなど、元気な中小企業を支える環境を整備することが日本全体の底上げにつながるという意識で取り組みたい」との考えを示した。
社会資本整備や国土政策などを担当する吉田審議官は、「(国交省の)持ち味である現場力を磨き上げて国民の安全・安心を守っていきたい。われわれだけでできるわけではないので、建設業界をはじめ関係業界と官民で現場力を磨き上げたい。また、人口減少社会で地域活性化や生産性向上などの課題があるが、いろいろな政策分野にわたって思い切った発想で取り組んでいくことが必要な時期に来ている」と説明。今後の社会資本整備に向けては、ストック効果の高い投資、強靭化、安全・安心のための投資など「安定的・持続的な投資を進めていくことが重要」と力を込めた。
7月の九州北部豪雨で流木対策が課題となったことを受け、国交省では今後新設する砂防堰堤は原則として透過型とすることを徹底する通知を出した。「透過性のダムで水を流して木を止めることに効果があった。木を除く維持管理コストが掛かるという話もあるが、むしろ流木の除去も地場の業者の仕事になれば、地域を守る業者の確保にもつながる。ハードやソフト、新規建設や維持管理を個別に捉えるのではなく、つながりの中で考えることによって、トータルな防災力を高めていくような発想で取り組んでいきたい」と話す。
建設業の働き方改革に関しては、発注や施工時期の平準化が大きな成果を上げつつあるとの認識を示しながら、地方自治体にもさらに取り組みを広げる必要があると指摘。また、今後は工場、倉庫、介護施設などの建築物を標準化する取り組みも必要であるとし、「平準化と併せて標準化も大いに進める余地がある。制度を含めて大胆な発想で生産性向上に努めていきたい」と述べ、建設業者や民間発注者などと問題意識を共有する中で対応していく考えを示した。
【略歴】よしだ・こういち
82年東大経済学部卒、建設省採用。国交省大臣官房総務課長、道路局次長、大臣官房建設流通政策審議官、復興庁統括官、国交省大臣官房長を経て、本年7月7日付で現職。58年10月生まれ。58歳。山形県出身。