国土交通省 【国土交通省就任インタビュー】事務次官・栗田卓也氏「社会資本整備は継続的に」

国土交通省の栗田卓也事務次官は就任インタビューで、社会資本の整備等を継続的に進めていくことが重要との認識を強調した。新型コロナウイルス感染症対策が進む中で「私たちの生活様式も変えていくべきことがあると思うが、そのことに関わらず、社会資本の整備等は継続的に進めていかなくてはいけない事柄。インフラの老朽化も加速度的に進んでいるので、これまでと同様にインフラの維持管理・更新は計画的に行うことが大事」と話す。加えて、i-Constructionやドローンの活用、構造物の診断でAI(人工知能)を使うといったデジタル化・スマート化の推進が「図らずもコロナ対策につながる」との見解を示した。
まちづくりに関しても「数年前から働き方改革、テレワークなどの対応、スマートシティを推進してきたが、コロナ対応の中で、さらに取り組みを進めなければならない。スマートシティを過密の回避に利用するなど、コロナ危機を一つのばねにして政策転換を図っていくことが大切」とした。
防災・減災、国土強靱化については「喫緊の最重要課題の一つ」と考えている。大臣プロジェクトとして7月にまとめた『総力戦で挑む防災・減災プロジェクト』の実施に向けて「国民一人一人が意識・行動・仕組みに防災・減災を考慮することが当たり前になる『防災・減災が主流となる社会』を実現するため、施策に定着させる」と説明。政府が7月に閣議決定した「骨太の方針2020」の中で、3か年緊急対策後も中長期的視点に立って国土強靱化基本計画に基づき、必要・十分な予算を確保し、災害に屈しない国土づくりを進めるとされたことから「骨太の方針も踏まえて中長期的な視点で必要・十分な予算を確保し、ハード・ソフトの施策を総動員して防災・減災、インフラの老朽化対策を着実に進めたい」と意欲を見せる。
建設業に対しては「地域の守り手として国民生活や社会経済を支える役割を担っている。この役割はこれまでもそうであったし、これからも変わらないと思っている」と期待を寄せる。一方で若年入職者の確保が喫緊の課題であると指摘。今後は新・担い手3法に盛り込まれた施策の具体化に加え、建設キャリアアップシステムの普及促進をはじめとする処遇改善につながる取り組みを通じて「若者が働きやすくて、やりがいを持って仕事ができるような労働環境を整備するとともに、女性の定着促進、建設業の魅力を積極的に発信する取り組みを進めていくことが大事だ。われわれも業界と一緒になって努力していく」と語った。
【略歴】くりた・たくや
1984年京大法学部卒、建設省採用。大臣官房人事課長、大臣官房審議官(総合政策局、土地・建設産業局担当)兼大臣官房参事官(人事担当)、都市局長、総合政策局長、国土交通審議官を経て本年7月21日付で現職。61年8月31日生まれ。大阪府出身。
【写真=「コロナ危機をばねに政策転換を」と語る栗田事務次官】