国土交通省 【国土交通省就任インタビュー】住宅局長 和田信貴氏「既存住宅流通の活性化を」
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国土交通省住宅局の和田信貴局長は、今後の住宅政策の方向性について「世帯人口が減り、空き家が増える中で既存住宅の流通をどう活性化していくかが大事。これはコロナ禍の状況においても、より必要ではないかと思っている」と話す。また「先行きに不透明さを感じている人も多い。安心できる中古住宅が国民の意識に選択肢として入るようになると、安心して住宅を取得できるようになる」と説明。ある程度のインフラが整備された市街地での既存住宅や建て替えが、これからは重要になるとの見解を示す。
マンション管理適正化法等の改正により注目される今後の老朽マンション対策については「法改正で管理の認定の仕組みを入れたので、細かな認定基準を作り、運用を考えていく。法律に魂を入れる作業をしっかりやらなければいけない」と意欲を見せる。認定には地方自治体の協力が不可欠になるため「法律ができたというだけで自治体の認知が上がるほど甘いものではない。特にマンション戸数が多い自治体を中心に認定事務を行ってもらうようお願いしていきたい」と考えている。
昨年度末にガイドラインをまとめた建築BIMに対しては「まずは国内でどれだけ早く進められるかが大事。設計事務所、施工会社、物件を管理するオーナー側とそれぞれ立場は違うが、理解を深めて全体として利益が出るようにしていく。ガイドラインの実施では、モデル的な支援を行いながら良い点・悪い点を整理したい」と述べる。
新技術活用のうち、建築物の外壁調査におけるドローンの活用に関しては「実証調査では多少の読み取りの誤差がまだあるとの結果が出ている。影響が出ないように精度を上げて目視と遜色ないレベルまで手法を確立し、点検の仕方の一つに位置付けて取り入れていきたい」と期待を寄せる。
建築士法改正後、初めて行われた一級建築士試験の学科試験では受験者数が増加した。「結果的に若い人の受験が増えている。とりあえず改正の趣旨が実現できている」としながら「継続してどうなっていくのかを見極める必要がある。若い人が入って業界が活性化していくよう業界からもいろいろな声を聞いて一緒に考えていきたい」とした。
【略歴】わだ・のぶたか
1986年東大法学部卒、建設省採用。国交省都市局都市計画課長、大臣官房人事課長、大臣官房審議官(都市局担当)、道路局次長、大臣官房総括審議官、内閣官房内閣審議官(内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局地方創生総括官補)を経て本年7月21日付で現職。56歳。長野県出身。
【写真=老朽マンション対策に力を入れると話す和田局長】