国土交通省 【国土交通省就任インタビュー】技監・吉岡幹夫氏「協力して産業の維持を」

国土交通省の吉岡幹夫技監は「インフラの整備や機能の維持・向上を通じて、人々の暮らしや経済を支えることが大事」と抱負を語る。特に「3つのS」(Safe、Smart、Sustainable)を意識しながら進める考えを強調する。また「国土交通省は現場を持って仕事をしており、さまざまな協力があって成り立っている。引き続き地域の建設業、まさに『地域の守り手』の方々の力も借りて、現場力や組織力を大事にしながら進めたい」と話す。建設産業は「きちんと維持していかなければいけない」とする一方で「維持するためには生産性を上げて、担い手を確保するために、お互いに不断の努力をしなければいけない。厳しい道のりがあるかもしれないが、一緒に協力してやっていきたい」と呼び掛ける。
インフラDX(デジタル・トランスフォーメーション)の今後の展望では「DXでは、今までの管理のやり方や整備の在り方を変容させて質を上げていくこと、より良い安全・安心なサービスの提供が求められている。大きな方向性として、現場作業では大事なところは人間の判断を残りながらも、設計・施工・管理をできるだけ自動化、自律化していく。言い方を変えれば家にいながら、子育てをしながら現場管理ができる世界を目指す」と説明。さらに「産学官の連携に加え、異分野との連携も大事で、省内の連携も垣根を越えてやっていかなければならない」と考えている。
i-Constructionに関しては、直轄での取り組みが一定程度進んだとした上で、中小企業にも裾野を広げることや地方自治体の底上げなどが大事だとし「戻ることはできないので、意見を聞きながら進めていきたい」と語る。
建設業の働き方改革に向けては、週休2日の確保、施工時期等の平準化などを直轄で先導するとともに、情報を共有し「発注者協議会を通じて地方自治体にも広めていきたい」とした。特に繰越の活用について「繰越が多いと執行できないという誤解もある。繰越を行うこと自体は悪いことではないということを、しっかり話していきたい」と意欲を見せる。
【略歴】よしおか・みきお
1986年東大工学部卒、建設省採用。国交省道路局企画課道路事業調整官、道路経済調査室長、高速道路課長、企画課長、北陸地方整備局長、道路局長を経て本年7月から現職。58歳。神奈川県出身。
【写真=インフラDXの重要性を強調する吉岡技監】