国土交通省 【国土交通省就任インタビュー】国土交通審議官 石田優氏「時代に即した産業へ発展を」

国土交通省の石田優・国土交通審議官は「われわれを取り巻く環境が大きく変わるタイミングであり、変革期の先をどう見据えるのかを意識しながら仕事をしなければいけない」と抱負を語る。建設業に対しては「災害が起きた時や日常の生活を下支えしていただいている本当に大事な産業」としながら「産業の維持よりも発展が必要。建設業は大事であるがゆえに、今のままでよいのではなく、その時代に即したより良い産業になっていただきたいし、われわれも支援していきたい」と期待を寄せる。
社会資本の整備・維持管理や防災・減災、国土強靱化の今後の方向性については「短期的には、防災・減災、国土強靱化は3か年緊急対策に引き続き、5か年加速化対策の執行をきっちりとやっていくことが大事。中長期的には、流域治水を総力戦で進める必要がある。どうやって関係者の合意を取り、理解していただくのかが今までにも増して重要になる」と説明。5か年加速化対策の事業費の当初予算での確保に向けては「発注する行政も受注する建設業も当初予算の方が、見通しが見えやすい。規模の大きな計画の場合、出水期や積雪期で施工できる期間が限られてしまうエリアもあるため、時間的な縛りが少ない当初予算の方が計画はやりやすく、より良い形で執行できると思う」との考えを示した。
建設業におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)の展開に関しては「コロナ禍で非接触によりDXを進めるという話が出ているが、建設業における時間外労働の上限規制導入を考えると、DXでの生産性向上が必要になる。ある意味では今のタイミングをうまく捉えて、施策に協力・理解していただき、強く進めることが大事ではないか」と話す。さらに「中小企業では後継者への事業承継問題が出てきている。外部承継をする場合は経営状況の透明性やデータを引き継げるようになっていなければ承継もままならなくなる。単に建設機械が無人になるとか、ドローンを飛ばせばいいという世界ではなく、デジタル化が必要」と意義を強調した。
【略歴】いしだ・まさる
1986年東大法学部卒、建設省採用。国交省大臣官房参事官(会計担当)、大臣官房会計課長、大臣官房審議官(住宅局担当)、大臣官房総括審議官、住宅局長、復興庁統括官、国交省総合政策局長を経て本年7月から現職。59歳。京都府出身。
【写真=建設産業への期待を述べる石田国交審】