【国土交通省就任インタビュー】大臣官房官庁営繕部長 秋月総二郎氏「円滑な活動の場を整備」

　国土交通省大臣官房の秋月総二郎官庁営繕部長は「官庁施設は国の行政機関などの活動の場。まずは、その活動が円滑に行われるよう施設整備をきちんと行いたい。大規模な新築プロジェクトも大事だが、小さな改修工事も大切にしたい」と抱負を述べる。公共建築の整備では基本的な性能を大事にしつつ、時代の要請に応える必要もある。「関係機関と連携しながら検討を進めたい。全国営繕主管課長会議なども活用しながら、公共建築の発注者として課題に取り組む方向性を整理していければ」と話す。

　営繕事業における生産性向上技術の展開では、３月にＢＩＭモデルの作成・活用に関するガイドラインを改定したほか、設計段階で作成したＢＩＭモデルを施工段階につなげるワークフローの作成、ＢＩＭ活用に関して受注者に求める要件を整理した仕様書（ＥＩＲ）を試作した。「本年度はワークフローに沿った形でＥＩＲを適用したＢＩＭの試行を設計と施工の両方で行う。試行結果を踏まえてＥＩＲ作成の手引きを策定し、地方自治体など公共建築の発注者にも参照してもらえるようにしたい」と考えている。

　働き方改革の推進に向けては「適正な工期設定では『公共建築工事における工期設定の基本的考え方』を取りまとめ、各省各庁や都道府県・政令市共通の申し合わせとした。労務費補正を伴う『週休２日促進工事』については本年度から一部の改修工事にも対象を拡大している。昨年度に完了した工事は約９割で週休２日を達成した一方で、受注者へのアンケートでは週休２日を阻害する要因が複数挙げられているため、それを取り除くよう尽力したい」と語る。

　公共建築物における木材利用促進の展望では「法改正により積極的に木造化を促進する対象に中高層建築物が加わったため、部材単位の木造化を含め木造と非木造の混構造など、木造化・木質化の整備手法の検討を進めている。混構造を採用した場合の設計条件やコストの目安を整理し、実際の施設整備で活用しやすい整備手法にしたい」と説明。今後、木材利用に関する技術基準類の作成に加え、官庁施設のＺＥＢ化の推進を含めて「各省各庁や地方自治体と連携を図りながら、公共建築全体としての取り組みにつなげていきたい」との考えを示した。

【略歴】あきづき・そうじろう

　１９８９年京都大学工学部建築学科卒、建設省入省。国交省中部地方整備局営繕部長、官庁営繕部計画課長、大臣官房審議官（官庁営繕担当）を経て本年６月28日付で現職。58歳。大阪府堺市出身。これまでに携わった公共建築物では『京都迎賓館』が印象に残っているという。