【国土交通省就任インタビュー】国土交通審議官 和田信貴氏「民間工事でも価格転嫁を」

国土交通省の和田信貴・国土交通審議官は、前任の総合政策局長時代に進めてきた物価対策、防災・減災や国土強靱化、インフラメンテナンス、社会資本整備重点計画、建築・都市のDXなど、政府の新しい資本主義や骨太の方針に盛り込まれた内容を「まずはしっかりと動かしていきたい」と抱負を語る。また政府が物価対策を決定し、総合経済対策を10月中にまとめる見通しになったことにも、きちんと対応していく考えを示す。
建設資材の価格高騰対策に関しては「公共工事はスライド条項をしっかりと使っていくことが中心になると思う。また直轄だけでなく公共団体においても対応していただけるように取り組んでいく。政府全体として価格転嫁は大事だということをやっている以上、民間の工事についてもお願いをする。元下の関係においても、払うべきものが払われていくということを徹底していくのが大切」と話す。
社会資本整備重点計画の進捗状況に対しては「全体としては順調に進んでいるところだと思う。国土強靱化の5か年加速化対策も全体フレームの中で2年がたち、標準ペースよりも早いくらいのところで来ている。それぞれ残りの期間はあるが、その先のことも見据えながら取り組んでいかなければいけない。物価高の影響も考えて、経済対策や当初予算の中で実現していきたい」と強調する。
インフラメンテナンスについては「必要性や重要性は強く感じている。笹子トンネル天井崩落事故から10年となり、いろいろなことをやってきたつもりだが、一方でその分古くなっているものも多くなっている。今、計画を作って取り組んでいるが、一つ一つやっているものを、もう少し連携していければ、より良いことができると思っており、技術開発やその社会実装もやりやすくなる。メンテナンスをすべきものはストックであるので、数が急に変わる話ではない。そこをどう効率よく安全性に問題なく見ていくかが大事」と説明。今後、社会資本メンテナンス戦略小委員会がまとめる提言も踏まえて、必要な対策を具体化する姿勢を見せた。
【略歴】わだ・のぶたか
1987年東大法学部卒、建設省採用。国交省都市局都市計画課長、大臣官房人事課長、大臣官房審議官(都市局担当)、道路局次長、大臣官房総括審議官、内閣官房内閣審議官(内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局地方創生総括官補)、住宅局長、総合政策局長を経て本年6月28日付で現職。58歳。長野県出身。