茨城土地家屋調査士会 積極行動で変化へ対応/黒澤誠一氏/新会長インタビュー

―就任の抱負について
前任の副会長では、木村道夫前会長から多くのことを学ばせていただいた。これまでの方針を踏襲しつつ、若さを生かして会務に取り組んでいきたい。支えてくれる副会長や理事に優秀な人材が揃っている。所有者不明土地の問題に関わる法改正やAIなどの新技術について、協力して取り組み、建設業の皆さまのお役に立てるように尽力してまいりたい。
―業界での取り組み
【所有者不明土地に係る法改正】
不動産(土地、建物)において、所有者の確認が非常に困難になってきたことを受けて、所有者不明土地の解消と予防に向けた法改正がこれまで実施されてきた。2024年には相続登記申請の義務化、26年4月までには住所や氏名の変更に係る登記申請の義務化も予定されている。
建設業の皆さまが計画を立てていく過程の中で、土地家屋調査士が土地の境界確定を行う。私たちが完遂できないと、その後の工事などに支障が出てしまう。所有者不明土地の解消と予防については、われわれも役割を果たしていかなければならない。
しかし、法改正が行われていざ当事者として直面してみないと、分からないことが多いかと思う。今後は法改正について、さまざまな形で広く周知していく必要がある。
【AI導入に向けて】
多方面で導入が進むAIについて、人間ができることがAIに取って代わるということがわれわれの業界も危惧するところ。今後、官公庁にAIが導入された場合、業務にどのような影響が出てくるのか不透明である。
導入を想定しつつも、われわれ人間だからできる業務であることを対外的に、あるいは関係官公庁にアピールできるように準備を進めていきたい。
【新技術を積極導入】
建設業の皆さまと同様、私たちも使用する測量機器の技術革新は急速に進んでいる。従来、スチールテープを用いて測量していたものが、今では完全に光波やGNSS(全地球航法衛星システム)、ドローンなどを使用することで、正確な測量が可能となった。
新しい技術については、日ごろからアンテナを高く、積極的に取り入れる姿勢を持つことが大切だと思っている。
―建設業者へのメッセージ
建設業と土地家屋調査士は非常に緊密な関係。建設業者の皆さまが良い仕事ができるように、不動産・土地境界の明確化など舞台を整え、責任感を持ってしっかりと下支えしていきたい。これからもよろしくお願いいたします。
【略歴】1971年6月生まれ。52歳。日立市出身・在住。建設業の知人からの紹介をきっかけに士業に。趣味は将棋観戦。貴重な休日には、小学4年生の長女と過ごすのが一番の楽しみ。座右の銘には『義を見て為さざるは、勇なきなり』を掲げる。「困っている人を助けたい。気が付いて行動することが大切」と語る。