埼玉県企業局・新井哲也局長インタビュー
産業団地 新規地区発掘を/水道・工業用水は老朽化対策
県企業局の新井哲也局長が埼玉建設新聞の単独インタビューに応じた。県企業局では地域整備事業、工業用水供給事業、水道用水供給事業などを所管している。地域整備事業について「新規地区の発掘、弾込めが重要」との見解を示した。また工業用水供給事業や水道用水供給事業に関しては「施設の耐震化、ダウンサイジングを兼ねた老朽化対策」などに注力するとの見通しを明らかにした。業界への思いとして「業界が潤わないと、県も発展しない。地元業者を活用できる発注とするよう心掛けている」と語った。
2022年度の決算では、地域整備事業会計は35億4800万円の純利益となり8年連続の純利益、工業用水供給事業会計も1億1000万円の純利益で2年連続の純利益となった。一方、水道用水供給事業会計は8億1700万円の純損失となり2年ぶりの純損失となった。
地域整備事業会計は「3地区の産業団地の新規分譲により、分譲利益が111億5000万円増加した影響」だとし、工業用水供給事業会計も「電気料金の高騰の影響は受けたものの、施設の撤去費が減少し純利益を確保できた」と話す。水道用水供給事業会計については「電気料金の高騰により純損益、経常損益ともに赤字となった。経常赤字となるのは31年ぶり」と語る。そのため「安全・安心で良質な水の供給のため、高度浄水処理施設の導入など必要な投資を行う一方、コスト縮減などの経営改善に努めていく」と意欲を示す。
地域整備事業に関しては「埼玉県は巨大市場の東京を起点に、放射状に延びる常磐・東北・関越自動車道や首都高と、それらを環状に結ぶ東京外環・圏央道などが交差する屈指の交通・流通の要衝にある」と認識。その上で「現在、埼玉県には300haを超える立地ニーズがある」とし「最大限に活用することが持続可能な社会の構築につながるもの」と考えている。「300haのニーズのうち100haを民間セクター、残り200haのうち100haを区画整理など市街地整備事業、残り100haを企業局で、というのが県の5か年計画だ」と説明する。
安定的に産業団地を整備、供給して、目的・目標を達成していくためには「『今の事業を進めているからいい』のではなく、新規地区の発掘、弾込めが重要」と捉える。整備に当たっては「採算性だけでなく、地域の均衡ある発展のため、市町村に対して積極的に働きかけをしていきたい」と話す。新たな産業団地の企画に際しては「『埼玉版スーパー・シティプロジェクト』や『あと数マイルプロジェクト』など県の主要政策と連携し、特色ある提案をしたい」と述べる。
工業用水供給事業会計は「1970年代をピークに、給水区域の宅地化・商業化などにより、事業所の撤退が進み、現在はピーク時の5割程度まで給水量が減少している」と現状を説明。また「93年度以降、実質的に料金を据え置いてきたが、給水収益の減少傾向や施設の老朽化などにより経営は厳しさを増していく」と見込む。ただ「2023年度で給水開始から59年が経過し、今後施設の更新時期を迎えることから、老朽化した施設・管路の再整備などといった大規模事業に取り組むための資金確保が課題となる」と述べる。そのため「ライフサイクルコスト縮減に努めるとともに、持続的な経営が可能となる料金の検討を行う」必要性を認識している。
水道用水供給事業に関しては、36年度までを期間とする『県営水道長期ビジョン』を昨年度改定。県営水道の運営基盤を強化し、▽安全▽強靱▽持続▽利用者とともに歩む水道―の観点から、事業を維持・継続していく。具体的には、水道施設の耐震化、送水エリアの再編、ダウンサイジングを兼ねた老朽化対策などを掲げる。そのほか、水需要減少に伴う給水収益減少が課題となっていることから、料金制度の検討や多様な広域化として広域連携の推進を挙げる。
建設業界への思いとして「近年では、川越県土整備事務所長、建設管理課長などで職務に携わってきたが、今でも『業界の皆さんにお世話になっているという思いは変わらない』」と話す。「業界が潤わないと、県も発展しない。災害時に地元建設業の力はとても重要で、安心・安全は確保できない。県外業者は維持メンテナンスではすぐに来てもらえず、地元業者を活用できる規格で発注するようにしている。地元業者の重要性を重々承知している」と語る。
日ごろの心構えとして「幸福と不幸は両天秤のように、等しくなっている」と意識。「それは災害も同様で『いつか来る』もので、危機管理・危機意識は気が抜けない。バランスよく使わなくてはいけない」と意識している。
思い出の仕事は、1996~97年度に派遣された建設省での勤務を挙げる。「阪神大震災の復興担当として、予算を確保することに労力を費やした。また、ゆりかもめ、日暮里舎人ライナーや多摩都市モノレールなどLRT(路面電車)制度の設計に携わった。当時の成果が目に見えているのは感慨深い」と振り返る。
【略歴】 あらい・てつや 1989年中央大学大学院理工学研究科土木工学専攻(工学博士)修了、同年入庁。総合技術センター技術指導幹、北本県土整備事務所長、建設管理課長、川越県土整備事務所長、契約局長などを歴任し、4月から現職。川越市出身。58歳。趣味はゴルフ。企業局は指定出資法人のさいたまリバーフロンティアの筆頭株主となっており、取締役に就任。さいたまリバーフロンティアでは吉見、大麻生、上里(上里町所有)の3つのゴルフ場を運営している。「社内や業界内のレクリエーションなどで、ぜひ活用してください」とアピール。















