埼玉建設新聞15000号に寄せて 岩﨑康夫氏

「道徳インフラ」発信に期待
創刊第15000号の節目を迎えられましたこと、心よりお祝い申し上げます。建設関係に携わる私たちにとって、70年という永きにわたり、貴紙は貴重な情報源であるとともに、業界の動向を的確に伝える信頼のメディアとして、常に大きな役割を果たされてきました。そのご尽力に、深い敬意と感謝を申し上げます。
――埼玉建設新聞との思い出――
私自身の貴紙との接点について振り返りますと、埼玉県住宅都市部で調整担当の専門調査員だった1998年度、当時は建設専門紙7紙共同での部長取材があり、その準備で予算などの資料を作成しました。
その後、いくつかのポストを経験する中で、県庁担当の名物記者だった渡辺喜光さんの取材を幾度となく受けました。県庁に独特の食い込み方をしている記者で、発注者側の情報を適切に広報していただきました。
総務部契約局長の時には、入札参加資格審査格付の評価項目設定について、企業の社会貢献度に対する要素を加味することに対して、鋭い指摘をいただいたことが記憶に残っています。
誠に残念ながら、在職中にお亡くなりになられました。当時、元部長をはじめ県土木技術職員有志により、埼玉建設会館でお別れの会を催させていただきました。
その後、入札情報も紙から電子という流れの中で、「入札ネット」のサービス開始は画期的でした。埼玉県が進める一般競争や電子入札などの情報提供に大いに貢献していただきました。きめ細かな入札情報の掲載により、直接、問い合わせを受けたこともありました。
現在まで続く「横顔」や新任所長インタビューなどは、公務員技術者の存在、役割、思いに光を当てていただいており、自覚、責任、誇りの醸成につながっています。
――これからの埼玉建設新聞に期待すること――
今後も地域に密着し、きめ細かな取材に基づく「埼玉」の建設新聞であり続けることを期待しています。
具体的に挙げると①地元のことは地元紙が最も詳しい記事内容②地域性を深掘りし、他の媒体では得られない情報の提供③産学官の交流に係るシンポジウム開催――などです。
また業界内の交流活性化や情報交換についても、これから貴紙の役割は大きくなっていくのではないでしょうか。地域内の橋渡しという観点からは、例えば県内の大学や工業高校と建設業界とをつなぐ役割も考えられます。
インフラは「つくる、つかう、たもつ」もので社会秩序の維持に不可欠です。安心・安全、利便性などで恩恵を受けている分、みんなでインフラに対して恩返しするといった考え方、いわば「道徳インフラ」を埼玉から発信していくことはできないでしょうか。
今後もインフラの重要性を発信し続ける埼玉建設新聞であることを期待しています。
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岩﨑氏は県職員時代、県土整備部長、都市整備部長、総務部契約局長などの要職を歴任。
現在は埼玉県道路利用者会議会長、さいたま住宅検査センター特別参与、さらには県土・都市・下水道の県職員OB会として組織されている埼玉睦会の会長を務めている。