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栃木県宇都宮市

JR宇都宮駅東地区の新都心拠点施設にコンペを採用、区画整理は13年度着工

1999/10/13 栃木建設新聞

 宇都宮市はJR宇都宮駅東地区(東宿郷一丁目、川向町地内)に計画している新都心拠点施設の整備に事業提案競技(コンペ)方式を採用するとともに、根幹的事業となる土地区画整理事業を十三年度をめどに着工したいとの新たな方針を打ち出した。これらの計画全体を盛り込んだ街並みまちづくり総合支援事業の最終調整を急ぎ、来年度中の都市計画決定、区画整理事業認可を得たい考え。十六年度には全事業を完了させたいとの意向も示している。今年度事業費は事業提案競技経費として千五百六十万円を計上している。区画整理を含む街並みまちづくりの総事業費は九十二億円、開発による経済効果は当面百八十九億四千七百万円に及ぶと試算している。

 これらの新方針は七日の県公共事業再評価委員会で、市地域振興課が説明した。現在は街並みまちづくり事業の総合基本設計書策定に向け、基盤整備並びに建設する中核施設等の計画詳細を庁内で調整中。県、JR東日本など関係機関とも協議を進めていく。

 街並みまちづくり総合支援事業は、国鉄清算事業団から取得した用地を中心としたJR東口駅前の南北に広がる市有地五・二ha(一部JR敷地〇・八ha)に、駅西口と連携した新都市拠点を形成する事業。

 当初の宇都宮CBXを拠点施設に、JR操車場までを含む四街区構成とする構想から、操車場を除いた北、中央、南の三街区に絞ったスーパーブロック方式の土地区画整理事業(区画造成、外周街路、宅地整備、駅前広場)を導入し、人工地盤、多目的広場、公共駐車場、駐輪場などの公共施設のほか、高度情報センター、トランジットセンターなどの公共・公益拠点施設、広域商業、アミューズメント、宿泊等の施設を整備する方向に転換した。

 事業の根幹となる土地区画整理事業は、今年度基本計画を関係部局で協議。来年度には区画整理区域(都市計画道路含む)をはじめ、街並みまちづくりで施行する駅前広場、地域冷暖房システム、駐車場施設などの都市計画決定や一部変更を市都市計画審議会、県都市計画地方審議会に諮る計画。区画整理は同年度内または十三年度早期に事業認可を取得し、実施計画の策定、換地、測量・設計、工事着手を目指す。十六年度に換地処分まで進めたいとの計画を示している。

 並行して進める街並みまちづくり総合支援事業は、平成二年度に指定を受けた新都市拠点整備事業からの移行に向け、社会情勢の変化に伴う見直し作業を進めている。主に①JR東日本操車場移転計画②鬼怒左岸台地とJR宇都宮駅前を結ぶ新交通システム計画③街並みを構成する拠点施設に対する参画企業、ディベロッパー等の意向④整備主体-などを踏まえた土地区画整理区域内の中核施設・機能が見直しの柱となっている。

 特に土地区画整理区域内に整備する中核施設は、まちづくりの核となる公共・公益、商業などの複合型施設を検討。区域内の想定施設を一括し計画案(施設整備の企画、設計、施工、運営・管理まで)を求める事業提案競技(コンペ)を採用し、入選した民間企業と具体的な施設整備内容を調整する。

 コンペにあたっては「業務、交流、宿泊等の高度な諸機能が集積する新たな都市拠点の形成を図る地区」としてのコンセプトに沿った提案を募集。①宇都宮市のランドマークとなる②交通結節拠点、広域交流拠点を包含-などの施設計画を求める。近く事業提案競技実施要項の作成にも入る。以降は、入選企業、参画する民間企業等との協議を経て来年度中に事業計画、基本設計を完了し実施設計に移行。十四年度の着工、十五年度の完了というスケジュール。

 街並みまちづくり全体計画は、来年度前半までに調整を終え、基本設計(総合基本設計書作成)委託、十三年度に実施設計を着手させ、十四年度着工、区画整理と同様十六年度中の完了を目指す。

 建設費は人工地盤等に三十三億千二百万円、多目的広場に七億四百万円(うち用地費四億七千百万円)、高度情報センター施設に五十億九千九百万円(うち用地費三億八千五百万円)と試算している。

 東口開発計画は、西口周辺地区の市街地総合再生計画が策定されたことから、東西一体となった整備が望まれ、JR宇都宮操車場の阿久津台地移転計画が具体化しないことから、これを除いた先行整備に着手することにした。

 具体化に向けては、鬼怒左岸台地とJR宇都宮駅とを結ぶ新交通システム計画が県の次期総合計画に盛り込まれることになったこと、国会等移転問題が未確定であることなど不確定要素が多く、市では着手時期や開発手法について見直しを図っていた。



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